気になるけど聞けない!新卒の基本給の話(リアル)

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新卒だけでなく、多くの社会人も実は意外と理解しきれていないのがお給料の話。

お給料と一言にいっても、その内訳は意外と複雑。ちゃんと説明できる社会人はどれだけいるのだろうか?と思うほどです。

私ももし自分が人事や労務、経理などの経験がなければ、きっとざっくりとしか理解できていなかったと思います。

実は、思っているよりも給与は複雑で、求人媒体ごとに表記ルールも異なり、企業によっても差があるのです。

新卒の代表的な求人広告R社とM社でも表記ルールが異なるので、社会人経験のない新卒就活生はさぞ混乱していることと思います。

今回は、働く上で知っておくべき給与の話として、基本給をテーマとして取り上げ、新卒だけでなく社会人にとって基本的に知っておくべき概念を共有していこうと思います。

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この記事の筆者はこんな人!

Helen(ヘレン)さん
キャリア・人事コンサルタント
1982年秋田県生まれ青森県育ち
理工系大学修士号取得後、ベンチャー企業に新卒で入社し、人事の立ち上げから採用・育成の責任者を務める。人材ビジネスにおいても営業統括として従事し、就活・人事のプロフェッショナルとして、2016年に独立。キャリアセミナーや人材育成が得意領域。2022年より株式会社shabell 取締役COO就任。
 

新卒でもちゃんと理解したい「基本給ってそもそもなに?」

お金と貯金箱

よくある勘違い例としては、基本給=月給と思っていたり、呼び方の違いと思っていたりすることがありますが、そうではありません。

まず、みなさんが実際に受け取る給与(手取り給与)は、会社が個別に取り決めた金額から法や国の仕組みによって取り決められた金額が差し引かれた(控除された)分です。

式にすると、

  会社が定めた賃金の総額(基本給+各手当)
ー)仕組みよって決められた控除額(各保険料+税金)
 =実際に受け取る手取り給与

 

というように、会社が設定した給与から色々と控除された金額が毎月手元に入るというわけです。

ちなみに、この会社が定めた賃金の総額(基本給+各手当)のことを額面といいます。

一般的に給与という時にはこの基本給と手当を含む額面を指すことが多いので、覚えておきましょう。

 

少し複雑だけど大事な「基本給とその他のお金のこと」

もうちょっと詳しく知りたいですね。

具体的に給与にはどんな要素があるのでしょうか?

定義に併せて、私が新卒や社会人向けの研修などでいつも説明するときお伝えしている”筆者の視点”も添えて説明していきます。

(余計分かりづらかったりしたらごめんなさい。。。)


給与明細

<会社が定めた賃金の総額に含まれるもの>

 

  • 基本給
    給与構成の基礎となるもので、年齢や職歴、スキルなどの要素から企業が独自に決定するベースの給料。

”筆者の視点”
その人が常に安定的に発揮しなければならない成果や全うすべき役割を金銭評価した額。会社組織の自分に対する期待値と最低限の満たすべきガイドライン。

 

  • 固定残業代
    みなし残業代と呼ばれることもあり、基本給に含まれている場合と手当として支給される場合とがある。ちなみに、残業をしなくても支払われる。

”筆者の視点”
人や時期、タイミングによって最大発生しうる残業時間の目安で設定していることが多いかな。固定残業時間が長いと残業が多いと思ってしまう人もいるが、実際には個人の効率による差や外的要因によるものなど振り幅が大きいだけである。

 

  • 各種手当
    時間外手当、休日出勤、深夜手当など、所定もしくは規定外の労働に対して支払われるものや、通勤手当、資格手当など業務にまつわるもの、住宅手当など福利厚生的な要素のものもある。

”筆者の視点”
手当が充実していることは魅力に感じるが、ほとんどの手当は課税対象になるので注意が必要。本当に業務やキャリア形成に必要なのかそれぞれの意味を正しく理解しないと、会社への依存度が高くなったり、給与の実態把握が困難になることを覚えておいてほしい。

 

その他、賞与、インセンティブ、歩合など、成果や業績、達成度に応じて支払われる支給額の変動が時期や人によって大きく異なる報酬もあります。

<額面給与(基本給+手当)から控除されるもの>

 

  • 健康保険
    病院で保険診療を受ける際の自己負担が、3割になる。会社と半分ずつ保険料を負担しており、会社が加入している健康保険組合の種類によって保険料率が異なる。
  • 介護保険
    本人もしくは被扶養者が40歳以上になると加入義務が発生し、健康保険料と一緒に納める。
  • 厚生年金
    将来年金を受け取るための掛け金で、会社と半分ずつ保険料を負担する。
  • 雇用保険
    失業し無収入になった時にサポートしてくれる保険で、再就職するために一時的に仕事を休んでいる間の生活を保障することを目的としている
  • 所得税
    給料にかかる税金。多くの場合、通勤手当以外の手当類も全て課税対象になる。年収が上がると税率も上がる。
  • 住民税
    住民票のある自治体に収める税金。前年の所得に応じて税率が決定されるため、就業経験のない新卒は課税されないことが多い。

上記以外にも、退職金の積立てなど会社のルールや仕組みによって控除されるものもあります。

 

新卒でなかなか聞けない「基本給ってどうやって決まるの?」

お金の疑問

基本給の決め方は大きく分けると3つあります。

  1. 属人的要素で決まる基本給
    最終学歴や勤続年数、年齢など職務内容には直接的に関係のない属人的な要素で決定されるものです。
    現在の感覚でいうと「なんじゃそりゃ〜」と思う人も多いかと思いますが、終身雇用を前提とした年功序列型の従来の日本企業ではスタンダードな方法でした。ひょっとすると新卒でも違和感のない人は多いかもしれませんね。
  2. 仕事の出来によって決定される基本給職務内容や業務を遂行する能力やスキル、仕事の成果によって決定されるものです。
    同じ仕事内容でも、成果の質や量、速さ、役割の大きさなど、細かな要素が給与の差に繋がるため優秀さや責任の重さを表現しやすくなります。新卒では職種で基本給が異なる場合があります。
  3. 総合的な評価で決定される基本給
    簡単にいうと、1つ目と2つ目をミックスして基本給を決定する方式です。それが一番いいじゃん、と思われがちですが、いいとこ取りしたものとは限らず、どんな要素や基準で決定しているのか意外と分かりづらいというのが実態です。


ちなみに、新卒における初任給において、この基本給は同じ会社で同じ雇用形態であれば、最終学歴や採用職種、勤務地以外の理由で差がつくことはほとんどありません。

すなわち、ほとんどの場合、同期と同じ基本給からスタートするのが新卒の初任給です。
募集要項に新卒基本給が明示されているからといって、安心してはいけません。新卒の場合は特に、どんな仕組みでこの会社は基本給が上がるんだろうか、ということの方が実は重要だったりするのです。

余談ですが、前項の話を含めると新卒1年目は控除されるものや金額が少ないことが多いです。
つまり2年目から控除額が増えます。そのため、2年目にどれぐらい基本給がUPする可能性が”自分に”あるのか把握しておくのが大切です。

 

新卒に限らず確認しよう「基本給ってなんで大事?」

キャリアの色々な課題

ここまでの流れを受けて、基本給はお給料の一部であることや、基本給の決め方にその会社組織がどのような考えに基づいて運営されているのかが現れやすいことなどが、なんとなく伝わっているかと思います。

最後にもう一つ、基本給が大事な理由は、

「基本給って本当に全ての基本だから」

なのです。

具体的には、時間外労働分の賃金や賞与などの根拠となる要素が基本給であることに加えて、他手当などと比較すると会社の業績などの要因によって減額されたり、支給対象が変更されることが少ないということです。

新卒の場合、お金に対する不安から漠然と額面給与や年収など、数字の大きさに目がいくことが多いかと思いますが、大切なのは基本給である、ということを認識しておく必要があるのではないでしょうか。

 

新卒の本音「基本給って高い方がいいの?」

初任給

基本給がめっちゃ大事なんだって、ということで基本給が高い会社ばかりに目がいくようになってしまったなら、一旦落ち着いてこれからする話を聞いてください。

結論からいうと、新卒の皆さんにおいては基本給が高すぎる会社ではなく、中央値付近の会社を選ぶことをおすすめします。
(あくまでヘレン的にです。)


その理由を、
「就業経験のない、新卒に高い基本給を割り当てることができるということはどういうことなのか」
という問いへの仮説を立てて解説していきます。
(筆者の言うことを素直に受け止めます!という方は、仮説を飛ばして結論まで進みましょう。)

<仮説1>
能力やスキルに関係なく、成果を出せる仕組みや商品力がある

一見すると、良いことのように思えますが、自分の実力が市場から見てどれほどのものなのか測りにくくなる恐れがあります。
会社の名前がないと自分の仕事を語れない、会社の仕組みの中でしか成果を出せなくなる恐れがあります。

 

<仮説2>
良い成果をあげそうな優秀層を囲い込みたい

専門職の場合は、その企業や業務で求められる能力やスキルを直接選考で評価されているため、この仮説によっての懸念は特にないと思います。
一方、新卒の総合職採用においては、学歴を中心とした実務以外の評価基準によって優秀さを評価することが多いため、実際に求められている能力やスキルを発揮できるかによって、入社後(早ければ内定期間中に)運命が大きく分かれることとなります。
大学でいうところの、「頑張って受験勉強をしまくってE判定だった大学にやっと合格できたはいいが、勉強に全くついていけず単位取得がやっと」というイメージに近いかもしれません。

 

<仮説3>
新卒入社時の基本給が高いだけで、その後昇給しずらい。賞与支給もないかもしれない。
売り手市場が近年続いている新卒採用においては、母集団形成や人材確保のために求人票や募集要項段階で競り負けないように、雇用条件を頑張って改善している企業も少なくない。

 

結論:新卒が知るべき基本給のこと

昇給イメージ

ここまで書いて何を伝えたかったのかと言うとですね、

ズバリ! 基本給が高すぎると、転職の時に困るのです。

基本給がお給料の基本だとすると、生活を左右する大事な要素ということになります。

新卒の時に、お金を重視した仕事選びや会社選びをしていると、その職場環境や仕事内容が合わなかったりするときに転職しづらくなり、キャリアアップやスキルチェンジの機会を逃す可能性があるわけです。

 元に、そういう人もたくさん見て来ましたし、従来の日本企業においては給与と言う側面で会社から人が離れにくくさせるような風潮もありました。

お金はもちろんとても大事な要素です。それよりもっと大切なのは、お金について正しい知識を得た上で、お金という縛りから自由になることだと考えています。

給与は会社に属しているからもらえるものではありません。

会社が得た売上のうちの利益をその企業が定めたルールに則って分配されるものです。

中長期的な視点で自身のライフスタイルやキャリアを考えた上で、会社という仕組みや環境に依存しすぎないようにすることが、本質的な経済的自立に繋がります。

つまり、自分のスキルやキャリアがどれくらいの市場価値なのかを測りやすく、高めやすい環境を選ぶことが新卒における会社選びにおいて重要なのではないでしょうか。

実際に、転職の面接では、企業名よりも「あなたができることは何か?あなただから出せた成果はなにか?」を求められます。

とはいえ就業経験がない新卒が、自分が社会で成長できるか不安という理由から、企業が与える仕組みやサービス、知名度に頼りたくなってしまう気持ちもよく分かります。

そんなときは、給与の額ではなく、その企業の給与に対する考え方を聞き、入社後働く自分には何が求められるのかを知り、その能力やスキルを上げる覚悟を持って入社することを考えましょう。 

大切なのは、自分に稼ぐ力が身につくのかということであることを忘れずに。

まずはプロに相談してみませんか?

今回は、働く上で知っておくべき給与の話として、基本給をテーマとして取り上げ、新卒だけでなく社会人にとって基本的に知っておくべき概念を共有してきました。

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