最近は、パソコンやスマートフォンの普及によって大人だけでなく子どもも気軽にインターネットを使用する場面が増え、トラブルなどに巻き込まれないためにも子どもにネットリテラシーを教育することが重要になっています。
また、社会人経験の少ない新入社員などに向けて、ネットリテラシー教育を検討している方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ネットリテラシーとは何か、ネットリテラシー教育が重視される背景、ネットリテラシーの低さが招くリスクなどを解説します。ネットリテラシー教育を行ううえで、知っておきたいポイントや教育方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
今さら聞けないネットリテラシーとは!?
「ネットリテラシー」とは正式名称「インターネットリテラシー」の略語です。
主に日本語ではリテラシーは「ある特定の分野に関する理解能力」のことを指します。
つまり、「ネットリテラシー」はインターネットを使いこなす能力のことを表します。
現代ではインターネットは急速な発展を遂げ、毎日毎分毎秒膨大な量の情報がやり取りされています。そのインターネットの情報の一つ一つを正しく理解し、適切に判断し、情報を運用していく「ネットリテラシー」の能力は必ず教育しておかなくてはならない能力の一つとも言えます。
インターネット上にアップロードされている情報には不特定多数の人が気軽にアップロードした情報や、悪意を持って発信した情報も混ざっています。発信されている情報の信憑性や、情報の真偽性を見極めるのは個人の判断に依存している部分も大きいです。
また、インターネットは世界中どこでも、いつでもアクセスができるため、気軽に発信した情報はまたたく間に世界中に拡散され、簡単にコピーもできてしまうので、一度発信した情報は完全に取り消すことは出来ないと言っても過言ではありません。
これは近年『デジタルタトゥー』という言葉でも話題になっています。
SNSや掲示板などで個人が発信した情報がインターネット上に残り、消すことが出来ない過去として発信者の人生を変えてしまうケースも起きています。
実際に起きた例をあげると、
また、インターネットを悪用している人もいるので、詐欺や犯罪事件にも巻き込まれないように小さいうちから「ネットリテラシー」を教育することはとても大切なことです。
ネットリテラシー教育の重要性
現在「Z世代」と呼ばれる若者たちは、物心つく頃からインターネットが身近にある環境で育ってきました。
総務省の発表によると、6〜12歳の子どものインターネット利用率は8割を超えています。
電車の中でもスマホを持っている小学生や、YouTubeを使いこなしている未就学児などを見かけることも増え、インターネットは誰もが手軽に利用できるものになっています。
小学校や中学校では、一人一台パソコンやタブレットが配布されていたり、タブレットを用いて授業を進めている学校もあり、昔と比べて情報の発達により教育の現場も大きく変わっています。
また、13歳〜19歳の9割弱の若者がSNSを利用しているという調査結果もでています。
SNSは不特定多数の人が利用しているツールです。情報を受け取るだけでなく、発信する側にも立っている若者に早急なネットリテラシーの教育が求められています。
社会人になっても、インターネットと切り離した生活は現代では考えられないです。インターネットは大変便利なツールですが、同時に使い方次第では怖いツールにもなります。ネットリテラシーを正しく教育することが、現代を賢く生き抜く力になるのです。
では、ネットリテラシーはいつから教育するのがいいのでしょうか?
正解は、「子どもが一人でインターネットを利用し始めた時」です。
それは幼稚園生のときかもしれませんし、小学生のときかもしれません。いつでも、子どもに対してネットリテラシーを教育できる準備をしておきましょう。
子どもたちは当たり前にIT端末を使いこなすかもしれませんが、正しい使い方ができているかどうかは全く別問題なのです。
子どもに教育したいネットリテラシーの基本
ネットリテラシーを教育する上で身につけておいたほうが良いネットリテラシーの基本を「情報を受け取る時」、「情報を発信する時」に分けて具体的に紹介します。
情報を受け取る時
情報の真偽性を正しく判断する
SNSや掲示板などに書き込まれた情報が正しいか、正しくないかは誰も証明してくれません。例えば、あなたが匿名で連絡を取っている人の性別は男性なんでしょうか?女性なんでしょうか?また、年齢はいくつなんでしょうか?その人が発信している情報がすべて正しいとは限りません。悪意を持った嘘をついてあなたに接触している可能性もあります。
そのため、簡単にネット上で仲良くなった人と会うことは、何らかのトラブルに巻き込まれる可能性があり、危険です。
コンピューターウイルスに気をつける
自分の知らない連絡先からのメールやメッセージは簡単に開いてはいけません。最近は、簡単に偽物と見破られないほど巧妙なものも増えています。知らない連絡先からのメールやメッセージに添付されたURLはできるだけ開かないほうがいいでしょう。本物と遜色ないHPを作成してクレジットカード番号などの個人情報を抜かれてしまったり、コンピューターウイルスに感染してしまう可能性もあります。
コンピューターウイルスは、フリーソフトやメールの添付ファイルなどに仕込まれています。開いただけで簡単に感染したりするので、ソフトウェアなどは知らない場所から購入やダウンロードするのではなく、できるだけ信頼できる場所から購入やダウンロードするようにしましょう。
情報を発信する時
情報の取り扱いに注意する
SNSや掲示板に書き込まれた情報は、基本的には発信した瞬間に全世界に公開されます。他にも、友達とのコミュニケーションが目的のLINEなども、仲間同士のコミュニケーションと思われがちですが、思わぬところから会話内容や写真などが外に流出してしまうこともあるので注意が必要です。
そのため、原則自分の名前や住所などの個人情報の取り扱いには注意しましょう。
また、SNSに写真をアップする際は、写り込みなどはしっかりと確認するようにしましょう。
写真の背景や、看板、瞳の反射に映ったものから自分の名前や住所などが特定されてしまうこともあります。
投稿していい内容なのかを事前に判断する
インターネット上での発言は匿名で行うことができる上に相手の顔を見ることなく発信することが出来ます。そのため、普段面と向かっては言えないような暴言も抵抗なく使えてしまうことも。しかし、これは相手も同じです。ひどい言葉を自分が使うと、相手もひどい言葉を使ってきます。その罵り合いが予期せぬトラブルに繋がる可能性もあります。
また、毎日のニュースを見ていて「炎上」という言葉をよく聞くことはありませんか。
「炎上」とはネット上の投稿がきっかけで加熱するバッシングのことを言います。
実際に炎上するケースは中高生が渦中にいることもよくあります。それを見た周りの人は面白がって個人情報を特定したり、写真を拡散したりして、最悪の場合その人の人生に大きな影響を与えることにもなりかねないです。
インターネット上に発信された情報は、閲覧した人が自由にコピーをして使うことができるので、一度ネットにアップされた情報は完全に消去することは出来ないと思ってください。なにか問題があった発言も、情報元を消したとしてもネット上には無数のコピーが存在します。主にインターネットでのテキストでの発信は、受け取り手によっては自分が意図した伝え方と違って受け取られる可能性もあります。軽率な発言にはしっかりと気をつけましょう。
ネットリテラシーを教育する方法
具体的に子どもがネットリテラシーを高めるための教育方法を紹介します。
大人でも完全にネットリテラシーを理解できている人は少ないので、国や警察など信頼できる機関が提供できるサービスを利用しましょう。
教育方法①:家族内でインターネットを利用するための決まり事を作る
家族でしっかりとインターネットを利用する際の決まり事を考えましょう。
たとえば、
インターネットを使うときは親がいる元で利用する
知らない人と勝手に連絡を取らない
などです。
また、通信会社がフィルタリングサービスなどを提供しています。子どもが怪しいサイトにアクセスしたり、勝手に変なサービスをダウンロード出来ないように、子どもを守ることができるサービスなので、子どものネットリテラシーが不安なときは利用しましょう。
教育方法②:どんなトラブルがインターネット上で起こりうるかを教える
子どもにどんなトラブルが実際に怒ったのかを具体的に説明してみましょう。
実際にどんなトラブルがインターネットを通じて起こる可能性があるのかを知っておくことは、ネットリテラシーを教育する上で非常に重要なことです。
いざとなったときに、どのように対処すればよいかを知らなければ、トラブルに巻き込まれてしまうこともあるでしょう。
トラブルの例と、その対処法を合わせて教育しましょう。
総務省では、「インターネットトラブル事例集」を公開しています。わかりやすいように漫画形式でイラストになっているので教育教材として最適です。
事例に関しての詳しい内容だけでなく、アドバイスなども掲載されているので積極的に利用しましょう。
ネットリテラシーの教育まとめ
ネットリテラシーは、今を生きる人達が身につけておかなくてはならない必須のスキルです。
しかし、インターネットは日々急速に発展し、新しい技術が開発されています。
そのため日々、最新のインターネットリテラシーも日々更新され続けており、常にアップデートし続けるのは難しいでしょう。実際に事件が起きてから気づくケースも最悪の場合あるかもしれません。
ただ、共通して言えるのは、どれだけ匿名性の高いサービスだろうと、画面の向こう側には人間がいるという意識だけは忘れないでください。あなたが日常生活で絶対にやらないことは、ネット世界だからといってして良いことではありません。
人間として最低限必要なモラルを持っていれば重大なトラブルに巻き込まれる可能性は大きく減少すると思います。
子どもに正しいインターネットリテラシーを教育し、安全なインターネットライフを送るためにも、あなた自身もしっかりとそれを覚えていてください。