春になると、多くの人が花粉症に悩まされます。特にスギやヒノキの花粉が飛散する時期は、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状がひどくなり、日常生活にも影響を与えます。
しかし、花粉症の症状が仕事に与える影響については、あまり深く考えられていないことが多いかもしれません。「たかが花粉症で仕事を休むなんて…」と思われがちですが、実際には集中力の低下や睡眠不足、薬の副作用などにより、仕事のパフォーマンスが大きく落ちることがあります。
また、職場によっては「花粉症で休むのは甘え」と見られてしまい、無理をして出勤する人も多いのが現状です。しかし、花粉症が重症化すると、仕事の効率が大きく低下するだけでなく、周囲にも影響を及ぼす可能性があります。
そこで本記事では、花粉症が仕事に与える影響を詳しく解説するとともに、仕事を休むべきケースや、休まずに働くための対策について紹介します。花粉シーズンを少しでも快適に乗り切るためのヒントになれば幸いです。
2025年の花粉はひどい??
2025年の花粉飛散量は、前年(2024年)と比較して地域によって大きな差が予測されています。
飛散量の傾向
九州・近畿・四国・中国地方
2024年の飛散量が少なかった反動で、2025年は「表年」の傾向が強く、前年比で最大800%以上と大幅増加が予想されます。特に四国や近畿では例年の2倍以上、過去10年で最多レベルの飛散量となる可能性があります。
北陸・関東甲信・東北南部
前年より多い傾向で、関東南部や東海では平年比150%前後の増加が見込まれます。
東北北部・北海道
2024年の飛散量が多かったため「裏年」となり、前年比で50%未満と減少する見込みです。ただし北海道のシラカバ花粉は平年比84%と依然注意が必要です。
飛散時期の変化
早期化する飛散開始
東海地方では2025年1月上旬からスギ花粉の飛散が確認され、静岡県では1月下旬に例年より3週間早く飛散開始しました2914。関東や九州でも2月上旬から飛散が始まる予想です。
ピーク時期の前倒し
スギ花粉のピークは2月下旬から(例:福岡、東京)、ヒノキ花粉は3月下旬から4月上旬と例年並みですが、3月の気温上昇により期間が短縮される可能性があります。
主な要因
2024年夏の猛暑と多照
高温と日照時間の多さがスギやヒノキの雄花の成長を促進し、花粉生産量が増加しました。特に西日本ではこの影響が顕著です。
周期的な「表年・裏年」の変動
花粉飛散量は増減を繰り返す特性があり、2024年が「裏年」だった地域(西日本など)では2025年に「表年」として飛散量が急増します。
地域別の詳細比較
地域 | 2025年 vs 2024年 | 主な特徴 |
---|---|---|
西日本 | 大幅増加(最大800%) | 四国・近畿で例年比200%超。過去10年最多レベル。 |
東日本 | 増加(平年比150%前後) | 関東南部や東海で早期飛散。晴れた日は1cm²あたり100個超の「極めて多い」日も。 |
東北北部 | 減少(前年比50%) | 平年並みだが、ヒノキ花粉はほとんど飛散せず。 |
北海道 | 減少(前年比48%) | シラカバ花粉は4月中旬から。GW時期に本格化する見込み。 |
対策の必要性
早期対策の重要性
飛散開始前から少量の花粉が飛散するため、1月中からのマスク着用や服の素材選びが推奨されます。
気象条件への注意
強風や急な気温上昇時には飛散量が急増するため、花粉情報のリアルタイム確認が有効です。
\\キャリアのプロに相談してみる//
花粉症が仕事に与える影響はある?
花粉症は単なる「鼻水が出るだけの症状」ではありません。花粉が体内に入ることで免疫反応が引き起こされ、さまざまな不調が現れます。特に仕事中に以下のような影響が出ることが考えられます。
【花粉症が仕事に与える影響】
・集中力の低下
・睡眠不足による疲労感
・薬の副作用による眠気
・仕事によっては大きなリスクになるかも
① 集中力の低下
花粉症の症状が強くなると、くしゃみや鼻水が止まらず、仕事に集中することが難しくなります。特にデスクワークをしている場合、ティッシュを頻繁に使うため手が離せなくなり、業務の進行が遅れることがあります。
また、目のかゆみがあるとパソコン画面を見続けるのがつらくなり、作業効率が落ちる原因になります。例えば、報告書を作成しようとしても、何度も目をこすったり、鼻をかんだりしてしまい、思うように仕事が進まなくなるのです。
② 睡眠不足による疲労感
花粉症の症状は昼間だけでなく、夜間にも影響を及ぼします。特に鼻づまりがひどいと、寝ている間に呼吸がしにくくなり、熟睡できなくなることがあります。
十分な睡眠が取れないと、翌日の仕事中にぼんやりしてしまい、判断ミスや作業ミスが増えることもあります。特に長時間の会議や細かい作業が必要な業務では、注意力が低下し、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
③ 薬の副作用による眠気
花粉症の治療には、抗ヒスタミン薬を使うことが一般的ですが、この薬には眠気を引き起こす副作用があり、仕事中に集中力が低下してしまうことがあります。
そのため、「花粉症を抑えたいけれど、薬を飲むと眠くなって仕事に支障が出る」というジレンマに陥ることも少なくありません。
④ 仕事の種類によっては大きなリスクに
仕事の内容によっては、花粉症の影響が深刻な問題につながることがあります。
例えば、運転業務や機械を操作する仕事では、一瞬の判断ミスが事故につながる可能性があります。くしゃみをした瞬間にハンドル操作を誤ったり、眠気のせいで反応が遅れたりすることもあるため、業務の安全性が損なわれるリスクがあります。
また、接客業では、くしゃみや鼻水が頻繁に出ると、お客様に不快な印象を与えてしまうこともあります。清潔感が求められる職種では、花粉症の症状が仕事に与える影響が特に大きいと言えるでしょう。
\\キャリアのプロに相談してみる//
花粉症で仕事を休むべきケースとは?
花粉症の症状が軽い場合は、工夫をしながら仕事を続けることも可能です。
しかし、以下のようなケースでは無理をせずに休むことを検討した方が良いでしょう。
【花粉症で仕事を休むべきケース】
・業務遂行が困難な場合
・安全性が求められる仕事をしている場合
・周囲に迷惑をかける可能性がある場合
① 業務遂行が困難な場合
・くしゃみや鼻水が止まらず、作業に支障が出る
・目のかゆみや充血がひどく、パソコン作業や細かい作業ができない
・頭痛や倦怠感が強く、集中できない
こうした状態で無理に働いても、仕事の効率が大幅に低下するだけでなく、ミスを引き起こす原因になります。
② 安全性が求められる仕事をしている場合
・運転業務(くしゃみで視界が遮られる、眠気で注意力が低下する)
・機械操作(集中力が必要な作業でミスが発生する可能性がある)
・医療関係や衛生管理(花粉症によるくしゃみや鼻水が問題になる)
特に安全性が求められる業務では、花粉症の影響を軽視せず、適切な判断をすることが重要です。
③ 周囲に迷惑をかける可能性がある場合
・接客業や営業職で、頻繁なくしゃみや鼻水が不快感を与える
・会議中や電話対応時に、花粉症の症状が邪魔になる
・職場の空気清浄機をフル稼働させても症状が改善しない
このような場合は、職場の状況を考慮し、必要に応じて休む選択をすることも大切です。
\\キャリアのプロに相談してみる//
花粉症で休むことに対する職場の理解
花粉症のつらさは本人にしかわからないことが多く、周囲から「ただの鼻炎」「風邪と違って大したことはない」と思われてしまうことがあります。そのため、症状がひどくても「花粉症くらいで休むのは甘えだ」と言われてしまい、無理をして出勤する人も多いのが現状です。
しかし、仕事のパフォーマンスが大幅に低下している状態で無理に出勤しても、効率が悪くなるばかりか、ミスを連発してかえって職場に迷惑をかけてしまうこともあります。そのため、花粉症の症状が重い場合は、職場の理解を得ながら、適切に休むことや働き方を調整することが大切です。
① 事前に上司や同僚に相談する
花粉症の症状がひどくなるシーズンがわかっている場合は、事前に上司や同僚に相談しておくのがおすすめです。「毎年、○月頃に花粉症がひどくなるので、症状が強い日は業務に支障が出るかもしれません」と伝えておくことで、急な休みにも理解を得やすくなります。
また、リモートワークが可能な職場であれば、「症状がひどい日は在宅勤務をさせてもらえますか?」と相談することで、柔軟な働き方ができるかもしれません。
② リモートワークの活用
近年、リモートワークを導入する企業が増えてきています。花粉症の症状が特にひどい日には、在宅勤務を活用することで、職場の環境に左右されずに仕事ができます。
リモートワークのメリットは以下のとおりです。
・自宅ならティッシュや薬を自由に使えるため、周囲を気にせず症状を抑えながら仕事ができる
・外出しないことで、服や髪に花粉が付着するのを防ぎ、症状の悪化を防げる
・人前でくしゃみや鼻をかむことに気を使わず、ストレスが減る
職場がリモートワークに対応していない場合でも、一時的な在宅勤務が可能か相談してみる価値はあります。
③ 有給休暇や時差出勤の活用
「どうしても症状がつらくて仕事にならない」という場合は、有給休暇を活用するのも一つの手です。花粉症は風邪やインフルエンザとは違い、明確な「病気」として認識されにくいため、休みを取りづらいと感じる人もいるかもしれません。しかし、仕事の効率が大きく低下してしまうのであれば、無理に出勤するよりも休んだ方が結果的に良い場合もあります。
また、花粉の飛散量は朝方に多く、午後になると少し落ち着く傾向があります。そのため、時差出勤が可能な職場であれば、「午前中の花粉が多い時間帯を避けて午後から出勤する」などの工夫をすることで、症状を軽減しながら働くことができるかもしれません。
花粉症で休まずに働くための対策
花粉症の症状があっても、適切な対策を取ることで快適に仕事を続けることができます。以下に、効果的な花粉症対策を紹介します。
① 薬の選び方
花粉症の薬にはさまざまな種類があり、自分に合ったものを選ぶことが重要です。特に、仕事中に支障をきたさないようにするためには、「眠くなりにくい薬」を選ぶことがポイントになります。
一般的に、抗ヒスタミン薬は「第1世代」と「第2世代」に分けられます。
第1世代:ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど。効果は強いが、眠気や口の渇きなどの副作用が強い。
第2世代:フェキソフェナジン(アレグラ)、ロラタジン(クラリチン)など。副作用が少なく、眠くなりにくい。
仕事中に服用するなら、できるだけ第2世代の抗ヒスタミン薬を選ぶのがおすすめです。ただし、症状がひどい場合は医師に相談し、自分に合った薬を処方してもらうのがよいでしょう。
② 花粉を防ぐ工夫
花粉の影響を最小限に抑えるためには、日常生活の中でできる対策を取り入れることが大切です。
マスクを着用する
花粉を吸い込むのを防ぎ、症状を軽減する。特に花粉対策用の高機能マスク(N95マスクなど)が効果的。
メガネをかける
目に入る花粉を減らし、かゆみや充血を抑える。花粉対策用のゴーグル型メガネもある。
衣類の工夫
花粉が付きにくい素材(ポリエステルなど)の服を着る。帰宅時には玄関で服についた花粉を払う。
洗顔・うがいをこまめにする
顔や髪に付着した花粉を落とし、症状の悪化を防ぐ。
③ 職場環境の改善
職場の環境を整えることで、花粉症の症状を軽減できる場合があります。
デスク周りに空気清浄機を置く
花粉を除去し、空気を清潔に保つ。
こまめに換気をする
外の花粉が入りにくい時間帯を選び、室内の空気を入れ替える。
加湿器を使う
乾燥すると花粉が舞いやすくなるため、適度な湿度を保つことで症状を和らげる。
④ リモートワークの活用
前述のとおり、リモートワークが可能であれば、症状がひどい日は自宅で仕事をするのが最も負担が少ない方法です。特に、通勤によって花粉を吸い込むリスクを減らせるため、大きな効果が期待できます。
\\キャリアのプロに相談してみる//
まとめ
花粉症は「たかが鼻炎」と軽視されがちですが、実際には仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えるものです。症状が重い場合は、無理をせずに休むことも選択肢の一つです。
また、職場の理解を得ることも重要です。上司や同僚に事前に相談し、リモートワークや時差出勤などを活用することで、無理なく働ける環境を作りましょう。
さらに、日頃からの対策をしっかり行うことで、花粉症の影響を最小限に抑えることができます。適切な薬の服用や環境の工夫を取り入れ、花粉シーズンをできるだけ快適に乗り切りましょう!
\\キャリアのプロに相談してみる//
しゃべりおサービスはこちら