大人の学び直し=リスキリングが注目され、近頃は国の諸政策でも手厚く支援されるようになってきましたね。
社会人になっても、いや社会人だからこそ、キャリアアップやキャリアチェンジのため、その他さまざまな理由から学ぶ機会を求めている方はたくさんいるのではないでしょうか。
この記事では、働きながら海外の教育機関に留学できる方法を実例とともにご紹介します。
オンライン留学は、社会人にとって新しい世界を切り拓く大きな転機にもなりうるもので、仕事と学びを両立させながら、新しい知識や異なる文化を探求することができます。
この記事では、社会人の皆さんに向けて、そんなオンライン留学のメリットについて探ります。
オンライン留学とは?
インターネットやデジタルテクノロジーを活用して、異なる国や地域の教育機関や文化にアクセスし、学び、異文化体験をする機会を提供する教育プログラムの一形態です。
これは、従来の留学プログラムと同様に異なる文化を学び、言語スキルや各分野の専門知識を習得させることを目的としますが、物理的に海外に渡る必要がないため、オンライン留学と呼ばれています。
オンライン留学は、世界的パンデミックをきっかけに国を跨いだ移動が制限されたことによって一層注目され、現在は社会人はもとい世界中のあらゆる人が活用し、留学手段の一種として浸透しつつあります。
オンライン留学によって身につけられるスキル
オンライン留学のプログラムは目的によってさまざま。よって、身につけられるスキルも多種多様です。
一般的に「オンライン留学」というと、言語スキルの習得を目的とした”語学留学”のオンライン受講というものが大多数。
社会人と一概に言っても、子育てによる休業中の人、時間が不規則な人、日中時間があるので詰め込みたい人、など生活スタイルは人それぞれ。そのためカリキュラムも多様で、中には受講生一人一人に適したオリジナルカリキュラムを組んでくれる教育機関もあるので、いかに自分に合った留学先を選べるかが重要です。
また、言語スキル以外にも、専門知識を深めたい、学び直したい、といった目的のために海外の大学に入学する、または大学院で修士や博士を修得するといったことも可能です。こちらの場合は完全に海外の教育機関へ入学して学ぶことになるため、語学力は必須です。
しかし、入学するにあたって必要な語学力を鍛えるようなESL(English as a Second Language)コースという、プレスクーリングプログラムも存在しているので献身的です。
オンライン留学のメリット
実際に海外へ移り住むことなく、オンライン留学をするのには、このようなメリットがあります。
柔軟性とアクセス可能性
オンライン留学は、社会人にとって非常に柔軟でアクセスしやすい方法です。地理的な制約や仕事との両立が難しい場合でも、インターネットを活用することで解消できます。
多様な留学先とプログラム
オンライン留学は、世界中の教育機関やプログラムにアクセスでき、言語学習、学位取得、文化体験など、さまざまな形態のもとに学びを得ることができます。広い選択肢の中から、個人の目標やニーズに合わせたプログラムを選択することが可能です。
異文化体験
オンライン留学を通じて、異なる文化や価値観を理解し、異文化コミュニケーションのスキルを向上させる機会があります。ビデオ会議、オンラインディスカッション、共同プロジェクトなどを通じて、異なる背景を持つ人々と交流することができます。
費用対効果
通常、オンライン留学は物理的な留学に比べて費用対効果が高いとされています。学費や生活費がかからないため、経済的な負担が軽減されます。
テクノロジーの活用
オンライン留学は、最新のテクノロジーを活用して教育を提供します。ビデオ会議、オンラインプラットフォーム、デジタル教材などが利用され、双方向で効果的な学習が可能です。
オンライン留学の成功の秘訣
社会人にとってメリットが多いオンライン留学ですが、良さを生かして自身の成長や学びにつなげるためには、自己調整能力とコミットメントが必要です。計画的なアプローチとモチベーションを持ち、自己成長と学習目標の達成に向けて努力しましょう。
オンライン留学の成功に向けた秘訣は、ズバリ以下の3つです!
“目標設定と計画立て” “モチベーションの維持” “コミュニケーションスキルの向上”
まず最初に、オンライン留学で何を達成したいのか、具体的な目標を設定しましょう。続いて、ざっくりでも良いので、日程、学習の進捗、評価基準などを考慮に入れた学習スケジュールを立てます。計画には柔軟性を持たせ、調整できるようにすることも重要です。
プログラムがスタートしたら、学習のモチベーションを保つことが肝となります。集中できる学習環境を整えることも大切です。オンライン留学は自己学習が中心となる場合が多いため、集中できる学習環境を整えて、自己学習スキルを向上させることもモチベーションを高める手助けになるかもしれません。
そして基本的なことではありますが、オンライン授業やディスカッションには積極的に参加しましょう。質問をする、意見を述べる、共同プロジェクトに参加するなど、アクティブに関与することで学習効果が高まります。そのためにも、他の学習者や教員とのコミュニケーションは主要な要素となります。周囲からのサポートも、遠慮せずに活用しましょう。
既に自身の生活も築いてきたキャリアもある社会人だからこそ、今ある”学びたい欲”をいかに成果に繋げていくか。そこにはきちんとした意思が必要となってきますね。
実例紹介
では実際に、社会人として働きながらオンライン大学院の進学をしている木村さんに、留学を決意した理由や入学までのことを聞いてみました。
木村さんの場合、言語スキル修得を目的とした留学ではなく、リスキリング(学び直し)のため大学院への留学です。同じように専門知識を求めて留学を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
(30代・女性)
小学生ごろから海外との交流があり、語学を活かした職に就きたいと語学系の大学を卒業し、高校の英語教諭になる。3年ほど教員を務めたのち、一度は教育から離れるも、「より良い教育環境を作るお手伝いがしたい」と学校の外から教育に携わるようになる。現在は、フリーランスとして複数のエドテック系ベンチャー企業や教育系NPOと共に、教育コンテンツの企画制作や教育機関のイノベーションを目指して多岐にわたる活動をしている。
※エドテック・・・「education(教育・学び)」と「technology(技術)」を掛け合わせた用語
ー働きながら大学院留学を志した理由・きっかけは?
現在の仕事をする中で、もっと根拠に基づいた知識がほしいと感じており、それを身につけるためにオンライン留学をしました。
元々は、「あと数年後に大学院留学できたらいいな」程度に思っていたのですが、たまたま入学年度の春に出会った方からの勧めによって、夏の終わり頃には今回の留学が決定していました(笑)
ー進学先はどのように選ばれたのですか?
私の場合、オンライン大学院への留学目的は”学び直し・リスキリング”でした。もちろん領域は教育です。
知識をそこからコアに深めたいのではなく、もう一度”教育”そのものを丁寧に学び直し、体系的な知見の質を高めたかったんです。
そこで、選んだ(正確には、留学の直接的なきっかけとなった方から勧めていただいた)のは、「University of the People(ユニバーシティオブザピープル)」という、「どんなバックグラウンドの人でも質の高い教育が受けられるように!」という目的の上で設立された、米国教育省認定の高等教育機関です。完全にオンラインで完結し、とても学びやすい教育機関だと思います。しかし、その反面で辞めやすさも否めません。なので、私は仕事やそのほかの活動と両立しながら、場合によっては途中休学などを挟みつつ自分のペースでやり遂げようと思っています。
ーオンライン修士課程の生活についても教えてください。
基本的には、3ヶ月を1タームとし、2コースを履修するペースで進んでいます。
ターム中は毎週課題が出され、それに伴ったタスクをこなす動きですね。
課題提出のために、とにかくたくさんの文献を読むのですが、今の私は時間の使い方が大きな課題です。
社会人でありながらの学生なので、容量よくこなしていきたいところです。
文献は教授から提示されるのですが、それらは必読なものとそうではないものがあります。今はまだ必読文献を読むことに精一杯なのですが、徐々にペースを掴んでいけたら、もう少し必読以外の文献や他の学びにも意識を向けられるようになるのかなと思っています。
ー高校生に英語を教えられていた木村さんですから、語学スキルは問題なかったのでしょうか?
普段、日常英語も、ビジネス英語も割と問題なくこなせているのですが、やはり不安はありました。
引用の付け方などもきちんとしたやり方があるのですが、もう忘れてしまっていますからね。
University of the People(ユニバーシティオブザピープル)は独自の語学試験を活用しており、一応パスすることはできました。しかしそれで安心とは言えなかったので、希望制のプレクラス(ESLコース)に申し込んで、3ヶ月ほど語学を学びました。そのクラスでの最終試験ももちろん受けて、合格した上で正式に入学が確定しました。
それでも実際に文献を読んでいると、「もっと早く読めたらな」と思うことがあります。大学院に通う場合、語学力は極めるに越したことはありませんね。
オンライン留学の未来展望
オンラインという手段が実用的に普及した現代だからこそ、オンライン留学はますます魅力的な選択肢となっています。
地理的な制約が取り払われ、異なる国からの学生間交流を通じて文化理解が深まり、個人のキャリアや教育の未来が拓かれていくでしょう。テクノロジーの進歩と変化する社会ニーズに適応し、社会人にとってより多くの機会とアクセスを提供する重要な役割を果たすことが期待されています。
あなたも、これを機にオンライン留学を考えてみませんか?