突然ですが、皆さんには、「やりたいこと」がありますか?
今、「やりたいこと」をやれていますでしょうか?
ドキッとした方が、多いかもしれませんが、私自身も、何か一つの目標に向かっているわけではありません。
このままでいいのか、という不安に苛まれることもあります。
今回お話を伺ったのは、株式会社TABIPPOのCCOで「POOLO」学長の恩田倫孝さん。
この記事では、「旅」を軸に生きる恩田さんの、これまでの人生の歩みをお伝えします。
取材を通して見えてきたのは、同じように悩んだ等身大の恩田さん。
今後の人生について悩む人に、ぜひ読んでほしい記事です。
やりたいこと探しに奔走した大学時代
ー「旅」を生業にされている恩田さんですが、子どものころから旅に興味があったのでしょうか?
恩田倫孝さん:子どものころは、それほど旅はしてなかったです。
比較的厳しい家庭で育って、NHKの教育番組を見ていましたし、本もよく伝記を読んでいました。でも僕自身、勉強は嫌いではなくて、知的好奇心が旺盛な子どもだったと思います。学生時代は、これ以上ないくらい懸命に、受験勉強に取り組みましたね。
でも、いざ大学に入学すると、それまでそれをゴールに受験勉強を必死にやってきたので、何をしたらいいのか分からなくなってしまったんです。そこで、どうにか何かを見つけようと、迷走する大学時代を送りました。
会計士の勉強をしたり、社会人を取材するNPO法人に入ってみたり、ベンチャー企業でインターンをしてみたり、政治家の秘書もやってみました。そもそも社会を知らなすぎるから、まず色々とやってみよう、と思ったんですね。
手広くいろいろとやってみた中で、そのうちの一つがバックパックでした。大学の周りの友人に、海外への意識が高い人が多く、その影響を受けて挑戦することにしました。当時読んでいた「深夜特急」という紀行小説への憧れもありましたね。男のロマンだなって(笑)
大学2年になる前の春休みに友人と初めてバックパックをして、それをきっかけに、旅に夢中になりました。
ーそうして、色々な国を旅するようになられたのですね。
恩田倫孝さん:最初は友達との、イギリス・フランスなどヨーロッパでの旅でしたが、その後は東南アジアやヨルダンなどの中東地域に、1人で行きました。大学在学中に、アメリカ留学もしました。
旅は「挑戦」だったので、基本は1人で行きました。1人で行くのがかっこいいような気がして(笑)
ですが、旅先で出会った人とコミュニケーションをとったり、一緒に行動したりしていたので、孤独という感じはありませんでした。現地でコミュニケーションをとるって楽しいんですよ。僕は昔から人見知りはしないタイプなので、受け入れてもらいやすかったんだと思います。旅を通して、より初対面でのコミュニケーションは上手くなったかもしれませんね。
旅を通じて学ぶことが好きなんだと思います。経験によって、知識が自分事になる感じがして。
昔から勉強は嫌いじゃないな、と思ってはいましたが、ストレングスファインダーでも1位が学習意欲で、納得がいったんですよね。自分は学ぶことが好きなんだな、と。
一度立ち止まって
ー学生時代に「旅」の魅力を知った恩田さんですが、新卒で商社に入社されたことにはどんな繋がりがあるのでしょうか?
恩田倫孝さん:大学生になってこの先の将来に悩んで、先ほどの通りいろいろとやってみたんですが、結局、やりたいことを決めきれなかったんです。
ならば、やりたいことが見つかった時に活かせるように、商社で幅広いことに携わって、自分を磨こうと考えました。商社に勤めたかったというより、成長できる環境を選んだ結果が商社だった、という感じです。
商社の環境はよくて、周りの人もよかったですし、仕事も楽しかったです。でも、将来やりたいことに意識が向かなかったんですね。
社会人3年目のころには、商社に入ったのは自分を磨くための手段だったはずなのに、ゴールがないままではだめだ、目標設定から逃げてはいけない、と考え始めていて。仕事を辞めて、世界一周に出ることに決めました。
ーそれは大きな決断ですね!なにかきっかけがあったのでしょうか。
恩田倫孝さん:社会人1年目から、男13人でシェアハウスで生活していたのですが、同世代のメンバーばかりだったので、同じタイミングで将来について悩み始めていて。
皆大企業に勤めていましたが、話し合った場で、今の仕事を辞めてなにかをやろう、という話になったんです。実際、シェアハウスのメンバーのうち半数以上が会社を辞めました。TABIPPOは元々、そのうち5人が学生時代に立ち上げた学生団体で、卒業した後は後輩に引き継いで、メンター的に関わっていました。ですがこれを機に、自分以外の世界一周を経験していたメンバーで、TABIPPOの会社化に踏み切りました。
一方で、自分はまだ世界一周はしていなかったので、とりあえず一度世界一周旅行にでてみることに決めました。
この時はまだ、自分の人生の軸が旅になるかは五分五分でした。旅に出ることで、他に何かやりたいことが見つかるかも、という思いもありましたね。
自分は、周りに世界一周をしたことがある人が沢山いるという特殊な環境だったので、応援してくれる人ばかりでした。ただ家族には、商社を辞めることに関して反対されましたね。結局、母親はもはや諦めた感じでしたが、父には背中をおしてもらえました。
皆さん、「旅」は好きですか?旅ってどんなときに、どんな気持ちで、行くものでしょうか。今回は、TABIPPOのCCOで「POOLO」学長の恩田倫孝さんへのインタビュー後編です。恩田さんにとって旅とは?その考え方や、これ[…]
大学生のあなたに向けて
ー「やりたいことがない」ともがいていたところから、自分らしい生き方を見つけていった恩田さん。そんな恩田さんから、私のように同じ悩みに漠然と不安になっている若者に、何かメッセージをいただけますか?
恩田倫孝さん:いつもイベントでいうのは、「旅に出ましょう!」ではあるんですけど(笑)
僕のように受験勉強をしてきた人の多くは、大学に入ってからとても悩むと思います。そのときに、自分の知らない、外の世界を見てみてください。
旅が絶対だというつもりはありませんし、旅が合わない人もいると思います。
でも、自分の外の世界に出てみることはしてほしいです。大変な思いをするかもしれませんが、体験してみないとわからないことが沢山あります。
自分の心に正直に、好奇心のままに行動してください。これは大学生に限った話ではなく、大人になってからも大切なことかも知れませんね。でも少なくとも学生は、大目に見てもらえる最後のチャンスでもあるので、少し冒険してみたらいいんじゃないでしょうか(笑)
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今回は株式会社TABIPPOのCCO恩田倫孝さんにインタビューさせていただきました。
私が世界一周をした人、と聞いてイメージしたのは、いい意味で「我が道をいく」タイプの方でしたが、お話を聞く中で、多くの学生と同じように将来に悩んだ方だとわかりました。
そんな中で出会った「旅」に夢中になり、一度は離れたものの、また向き合いなおした恩田さん。
経験から学ぶこと、そして自分の人生を考えることの大切さに、改めて気づかされました。
続編の記事では、「あたらしい旅で自分と世界の豊かさをつくる次世代の旅人=『ニューノーマルトラベラー』が育つ学校」、POOLOを立ち上げた恩田さんに「旅を通じて、人生でできること」について伺った内容をご紹介します。
旅に出たことがある人も、ない人も、ご自身の価値観が広がるきっかけになるかも知れません。
- 恩田 倫孝さん
おんだ みちのり|会社役員『観光という手段で人生を豊かに、世の中に貢献を』
旅好きの人生を豊かにする学校「POOLO」学長&旅行ベンチャーTABIPPO執行役員CCO。慶應理→商社→世界一周。51カ国渡航。飲み会好きな新潟人。