今回はクラファンを学生時代から複数回経験し、現在も主催および事務局として支援総額4500万円を募った玄成秀さんにインタビューを行いました!
また、玄さんは学生時代行ったクラファンにてプロジェクトを始動したところ、100万円の目標金額を大幅に超え、1113万円を達成した実績も持っています。
そんな玄さんに、学生起業家になるまでの経緯やクラファンとの繋がりなどをお伺いしました!
起業に興味がある方、新しいサービスを作ろうとしている方、そしてクラウドファンディングに興味のある方に刺さるお話となっています。
独自のネットワークを創るため、東京農大へ
ー玄成秀さんが、農業や食文化に興味を持たれたきっかけを教えてください。
玄 成秀さん:もともと食は好きで興味はあったんですが、食に関わる仕事に就こうと決めたきっかけは、”起業したい”という想いがあったからなんです。
高校の頃に”自分の会社を持ちたいな”という想いを抱きはじめて、どんな会社が良いだろうと考えた時に、「食」だなと考えました。ITはこれからの時代、衰退はしていかないにしろ、ある程度飽和していくと思うんです。産業の発達の順番から見てみると、「食」→「自動車」→「IT」という流れで発達をしているじゃないですか。だから、次に来るのは「宇宙産業」じゃないかなって。でも、僕は宇宙にそんなに興味は無くて(笑)もう一回「食」に戻ってくるんじゃないかなと高校生の時に思い、「食」を学ぼうと決めましたね。
そしてビジネスはどこでも学べるからこそ、ネットワークを作ろうと思って。大学は東京農業大学に進学をしました。東京農大は生産者さんとの繋がりが強いので、広く固いネットワークを作ろうと考えたんです。
ー東京農業大学では、具体的にどんな事を学ばれたのでしょうか。
玄 成秀さん:大学では農芸化学という分野を勉強しており、いわゆる「食」を網羅的に学んでいましたね。研究室では、”アミノ酸とがんの関係性”など、医学寄りの分野を研究していました。
研究はとても好きだったので、大学院に進み、その途中で株式会社アグリペイを起業しました。
学生起業に壁はつきもの
ー学生の間に、株式会社アグリペイを立ち上げたきっかけを教えてください。
玄 成秀さん:きっかけは、日経新聞さん主催のアイデアピッチコンテストですね。コンテストに応募をしたんですが、予選で落ちてしまったんです(笑)本選にすら行けなくて、その時すごく悔しかったんですよね。その悔しさのパワーというか、半ば勢いで会社を設立しました(笑)
ーアグリペイは農学生発のベンチャー企業という立ち位置だと思いますが、どんなミッションやビジョンを掲げていたのでしょうか。
玄 成秀さん:掲げていたビジョンは「生産者に多様な選択肢を」です。当初の構想では、売掛債権を早くすることができるアプリを作りたくて、「食」のファクタリングをしようとしていました。例えば、農家さんって生産物をスーパーに卸してからお金が入るようになるまで3ヶ月くらいかかるんです。それがやっぱり生産者からしたら当月末にお金が欲しいと思うじゃないですか。これをサービス化しようと思っていました。
でも、実際に最初に手掛けたのは、オリジナルの日本酒「農学原酒」の開発でした。事業は構想の中で変化していきましたが、目指しているビジョンは変わらず”生産者に多様な選択肢を与えられる”サービス開発を目指していましたね。
ー学生起業家は昔と比較すると大分増えてきたようにも感じますが、実際に起業をしてみて感じた難しさなどはありましたか?
玄 成秀さん:そうですね。これはよく色々な方から聞かれる質問ですが、僕はあまり意識したことがないんです。
難しい言い方になりますが、”壁”や”困難”って必ずあるじゃないですか。あるもの、起こるものだと思っているからこそ、大きな出来事として捉えることは無かったです。でも、起こりうることだからこそ、きちんとシミュレーションをしておくことは大切だと思います。リスクをきちんと分かった上で進むのと、分からない状態でリスクと向き合うのは全然違うので。
また、僕たちは課題を感じている人に対してソリューションを提供している立場の人間なのに壁を感じてしまっていたら相手に失礼だと思うんです。だから、そもそものスタンスとしてあまり気にしていないですね。
クラファンで支持されないものが、世に展開できるわけがない
ー現在まで複数のクラファンを行われていますが、最初、クラファンをやってみようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
玄 成秀さん:理由は単純で、事業を始めるにあたってお金が必要だったんです。だから、クラファンを利用して資金を募る以外の選択肢がなかったんです。
ー初回から100%以上の結果を出されていますが、どんなところを意識してクラファンをスタートしたのでしょうか。
玄 成秀さん:農大ブランドは上手く使いたいなと思っていましたね。ネットワークはもちろん、農大ブランドってやっぱり強いので。「農大生初、ベンチャー企業でこういう事業をしているので、皆さん応援してください!」といった打ち出しをしたりしていました。
また、クラファンをしてくださった消費者に商品を届けるまでのプロセスは、しっかりイメージしてスタートさせました。気をつけたところといえばこれくらいです(笑)クラファンは、やる気や情熱で勝負できる世界なので若い子にはあっているんじゃないかなと感じています。
だからこそ、若手の起業家達はとりあえずサービスやプロジェクトベースのものが完成したらクラファンをやってみてほしいです(笑)むしろ、クラファンで100万円集められないものが世の中に展開って絶対にできないと思うので、世の中の意見を見れる良い機会だと思って挑戦してみてほしいですね。
ーそんなアグリペイを事業譲渡し、新しく会社(株式会社Agnavi)を立ち上げたのはなぜでしょうか。
玄 成秀さん:そうですね。なにか別の形で会社が大きくなるのであれば、そんな未来も見てみたいなと思ったからですね。会社って、ずっと経営していることが良いと考える人もいると思いますが、やはり会社も生き物なので。
もう一つの理由は、会社の歴史をリセットしたかったからです。新しい事業に取り組むにしても、僕は一旦会社をリセットしてフレッシュな状態ではじめるほうが取り組みやすいなと感じているので譲渡を決断しました。
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今回は、学生起業をし、クラファンで最高額を叩き出した玄成秀さんに取材を行いました!
後半では、玄成秀さんの2社目の会社、株式会社Agnaviさんでの取り組みをお聞きしています。
Agnaviでは「日本酒缶」という新しい切り口で事業をスタートし、日本酒業界だけでなく日本の食文化の発展を最前線で行っています。
気になる方はこちらからぜひ読んでみてください! 今回ご紹介するのは、株式会社Agnavi代表 玄成秀さんの革新的な挑戦。日本の食文化にさらなる発展をもたらすべく、日本酒を缶で楽しむという新しい商品を作り出しました。なぜ今まで思いつかなかったのか不思議なほど、日本酒業界に激震を走ら[…]
- 玄成秀さん
げん せいしゅう|博士(農芸科学) 起業家1992年生まれ。群馬県出身。2008年と2011年に函館ラ・サール中高卒。2012-2016東京農大卒業、2018年東京農業大学大学院 農学研究科 農芸化学専攻 修士課程を修了(首席)。在学中に米国コーネル大学留学。(フードサイエンスを学びに)、株式会社アグリペイの代表取締役に就任(2019/2)、株式会社アグリペイの全株式を売却し、代表取締役を退任法人譲渡(2020/1)株式会社Agnaviの創業(2020/2)2021年3月、東京農業大学大学院 農学研究科 農芸化学専攻 博士課程を修了。博士(農芸化学)の学位を取得。論文題目は「ガン抑制タンパク質TSC2のメチル化による新規な制御機能の解析」。2021年4月より東京農業大学 客員研究員としても勤務をしている。
株式会社Agnavi:agnavi.co.jp