2023年4月入社予定の大卒者の内定率が7割近くになった、という調査データがリリースされました。
どんどん早期化する就職活動の流れの一方、本当の意味で働く準備ができている人が増えているようには感じられない、何故かなあ、、、、ともどかしく感じます。
一方で、このような流れの中でも漠然と就活を初めて、「なんで就活しないといけないのか」疑問を感じながら就活に奮闘するも、良い結果が得られていないと悩みを抱えている学生も少なくないのです。
今日は改めて、なんで就活をするのか、就活する理由について考えていきたいと思います。
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この記事の筆者はこんな人!
キャリア・人事コンサルタント
理工系大学修士号取得後、ベンチャー企業に新卒で入社し、人事の立ち上げから採用・育成の責任者を務める。人材ビジネスにおいても営業統括として従事し、就活・人事のプロフェッショナルとして、2016年に独立。キャリアセミナーや人材育成が得意領域。2022年より株式会社shabell 取締役COO就任。
就活が全てではないことを知ろう
「そもそもなんでみんな就活するんですか?」
ある大手就職サービス主催の就活セミナーに登壇する私の第一声です。
当然、会場はザワザワします。
就活という手段を通じて出会うことができるのは、新卒採用を行っている企業だけです。
新卒採用を行っている企業は、日本の法人の1割以下と言われています。つまり、就活という手段は万能ではないということなのです。高校進学から大学受験、大学入学から就活という道筋になんとなくレールが敷かれているような雰囲気があり、迷わずそのまま進んでしまう学生も少なくないと思います。
しかしながら、情報が溢れ選択肢も多い現代社会においては、
「そもそもなんで働くんだっけ」
「そんでもって、なんで就活するんだっけ」
ということが自分の中で明確に整理できていないと、途中で迷ったり、つまづいた時に一歩踏み出すことができなくなってしまいます。
就活をするメリットってなんだろうか
なんで就活をするのか、就活する理由について考えるにあたっては、就活をすることによってどんなメリットがあるのかを知っておく必要があります。
企業にとって、新卒採用とは、大学(あるいは高校)を卒業見込みである人を採用予定とすることです。これによって、毎年度同じ時期にある一定数・一定レベルの人材を確保することができるため、計画的に育成や人員配置を行うことができるというメリットがあり、かつては一括採用などという呼ばれ方もされていました。
このような背景からもわかる通り、従来は新卒採用を行う企業の多くは組織規模が大きく、業務がある程度体系化されている育成環境の整った企業が行うものでした。そのため、新卒採用という枠組みの中で就活を行う学生に求められることは、実務的な経験やスキルではなく、成長する意欲や伸び代があるかどうか、組織のどの部署においても育てたいと先輩たちに思わせることができる人柄であるかどうか、などです。
しかしながら、近年はIT化によって業務効率化や事業立ち上げのスピードが短縮されたことにより、事業や組織の規模に関わらず、あらゆる企業が新卒採用を実施するようになってきました。
それによって、学生に求められることも、やや即戦力化しており、長期インターンシップでの実務経験や起業、事業立ち上げなどの経験を求められる場面も少しずつ増えてきました。
いずれにしても、新卒採用の選考において求められることは、可能性です。ほとんどの場合が実際にその企業で行う業務に触れることなく、選考を受け、お互いに入社・採用内定の意思決定を行います。
一部の企業では学歴を中心とした過去実績を選考基準においていますが、多くの場合は「成長しそうか」、「仕事を任せることができそうか」、「仮にすぐ成果を出せなくても諦めずに乗り越えようとしそうか」という可能性を予測して選考します。
つまり、就活最大のメリットは可能性で未経験の業務でも採用してもらえるということにあります。
就活のデメリットについても知っておく
一方で、なんで就活をするのか、就活の理由を考えるためには、就活のデメリットについても理解をしておく必要があります。
新卒採用という採用方式の中で就活することのデメリットの根本は、選考のほとんどが面接という方法によって実施されているということにあります。
面接は会話が中心であることから、就活生の会話力の高さによって実際の能力よりも評価が高くついてしまったり、面接官から質問される事柄以外にはアピールのチャンスがあまりないことが要因として挙げられます。
基本的には、話の中身の信憑性を確認する手段はないので、論理的に整合性がとれているか深掘りして確認したり、就活生が面接対策として想定している質問とはやや異なる角度で質問することで、できる限り本質を引き出すことが重要ですが、ほとんどの面接官は専門的なトレーニングを受けずに面接に挑みます。
面接官個人の会話スキル、コミュニケーションスキルが評価に大きな影響を与えてしまう、ということです。
さらに、ほとんどの就活生は就業経験がない状態で面接に挑むため、企業に求められていることの本質を知ってはいても理解はできていないことが多いのです。
つまり、過去の経験をアピール材料にして面接に挑まざるを得ないにもかかわらず、過去の経験は参考程度にしかならないということです。
整理すると、受動的な会話や印象を通じて初対面の相手に「この人は、仕事を任せて達成することができる可能性を持っている人間みたいだなあ」と信じさせなくてはならないという、難易度の高いことが求められているのがデメリットであるということです。
他方で、会話力によって面接時の評価が高い状態で入社しても、実際に仕事を経験させてみると、さほど能力がないことがわかったり、自分自身も働くという未知の経験によって、自分が思い通りの成果が出ないと必要以上に落ち込んだり、転職という決断に繋がることも少なくありません。
就活を始める前に経験しておくべきこと
上記のようなデメリットがあることを踏まえると、一夜漬け的に面接練習や想定質問への回答準備をしたところで不十分であることは想像がつくと思います。
たとえば、会話力を磨くためには、遅くとも大学1年生からさまざまな価値観、年齢層、コミュニケーションスキルの人たちと会話し、短期間で信頼関係を築く経験を積み重ねる必要があるでしょう。
もっと丁寧に準備を行うとすれば、長期インターンシップなどを通じて成果を出すまでの一連の流れを経験することです。
つまり、就活以前に働くということを経験し、仕事における実績を得た状態で就活に挑むことで、自分にとっても入社先にとっても与えるギャップを最小限に抑え、活躍までの道筋をつけやすくなるのです。
さらにいえば、このように就業経験を学生時代に得ておくことで、新卒採用を実施していない企業にも挑戦しやすくなり、選択肢を増やすことにも繋がります。
そう考えると、なんで就活しないといけないのか、就活する理由ってなんなのかを考える前に、大学入学した瞬間から「まず働いてみる」という経験を積むことを意識して、時間の遣い方を選択することが重要になっていくのだなあと気づきます。
先に働いてみて、そこから本格的に社会に出る手段として、就活という方法が適切かを考えてみる、そんな順番の方が理に適っているのかもしれませんね。
就活以外の選択肢を選ぶ時の注意点
ここまで考えて、経験してみて
「なんで就活しないといけないんだろう。就活する理由、別にないじゃん」
そう思った場合、新卒採用を活用した就活以外にはどんな方法があるのでしょうか?
その方法と注意点を合わせてお伝えしておきます。
方法1 アルバイトからでもいいから雇ってもらえるよう交渉する
学校だけでは学べない専門的なスキルや実務経験が求められる一部の業界や職種においては、アルバイトや契約社員からの正社員を目指すルートしかないものもあります。広く募集することはしておらず、欠員が出たタイミングなどで、HPやSNSにちょろっと情報が出る程度のことが多いです。
自分が目指したい業界や職種、企業が明確になっているのであれば、随時情報をチェックしつつ、募集がなくとも問い合わせてみるのでも良いかもしれません。
ただし、その場合はなぜその会社や仕事に応募したいのか、本気度が問われます。やってみたい、経験してみたい程度では、採用活動を公に行っていない会社に時間をとってもらうことは失礼にあたります。
やってみて、思った通りの成果が出せなくとも、達成できるまでの覚悟があることや、教えてもらえなくても主体的に学び取る行動を約束することを示す必要があります。
方法2 自分で事業を起こす、起業する
本当に自分がやりたいこと、実現したい未来があるのであれば起業の一択しかないと思っています。就職は、創業者や経営者が描いた目的や目標を一緒に役割を担いながら実現することです。
当然ながら個人の想いよりも、経営者や顧客、組織などの想いが優先されます。
今の時代、起業すること自体はそう難しくありません。若手が起業するために支援してくれる団体やコミュニティもたくさんあります。なんなら、自分の通っている大学に相談できるゼミや教授すらいます。
さらにいえば、必ずしも1度で成功する必要もありません。
起業という経験をすれば、たとえ失敗したとしても、自分が直接社会にサービス提供者側として関わることでしか発見できない、気づきや課題に遭遇します。同じような働き方で、個人事業主という働き方がありますが、安易に直近で得られる収入面だけでこの選択をすることはあまりオススメしません。
個人事業主ということは、自分(個人)が持っているモノ(スキルや経験値、創作物)を人や社会に提供することでお金を得るという豊富です。
つまり、提供できるモノの価値を毎年上げ続けていかなくては、年収を上げていくことは難しいということです。将来的に提供できるモノの価値をあげるに充分な資産(人脈、専門知識・スキル、経験の幅と量、オリジナリティ、自己投資できるお金と時間)が蓄えられていないのであれば、違う方法をオススメします。
方法3 お金のかからない生活を主軸にする
完全に社会との繋がりを断つことは難しいですが、自分自身の支出を極力制限するミニマルな生活を実現することはできます。例えば、地方の過疎地域では移住者に支援金が出たり、家賃や住む場所まで補助してくれたり、畑までついているようなこともあります。
なんで就活をしないといけないのか、就活する理由として、「生活費のために働かないといけないから」と回答する人も少なくないですが、その理由は一部であって全てではないはずです。
支出を減らせば、収入が少なくとも生活できますし、金銭的消費だけが人生を豊かにするものではないはずです。今の時代、どこにいてもインターネット環境さえあれば、世界中の人と繋がることができ、世界最高レベルの教育も受けることだって可能です。
なんで就活しないといけないのか、就活する理由を考える前に、どんな人生の選択肢があるのか、をまず知らないといけないのかもしれませんね。
筆者からのメッセージ
さて、みなさんは「なんで就活しているの?就活する理由って何?」と質問されたらどう答えますか?
私自身は大学3年生と大学院修士1年生と2度就活を経験しました。
1度目は大失敗で、1社も内定を獲得できませんでした。様々な理由から、大学院へと進学したのですが、2度目の就活の時に大きな気づきを得ます。それは、私自身が大学院まで通って、たくさんの時間やお金を投資した割に、その時点で社会に提供できる価値が労働力や時間以外に全くないということでした。浪人もしていたので、他の就活生よりも3つも年を重ねいて、差がないのです。
自分の現状に気づきとにかく焦って、できる限り可能性に投資をしてくれる企業を探し、選考を受けました。結果、数社内定をいただくことができ、その中でも一番自分の価値創造を模索できる企業を選択しました。
当時のエントリーシートには、
「私にとって、就活を通じて新卒として入社することは、社会人としての修行期間を会社から認められて得ることだと思っています。ですから、やりたいことよりも為すべきことをいかに早く、期待以上に達成するかが重要だと考えます。」
と書いてありました。(なんか丁寧だけど、上から目線w 恥ずw)
就活は全てではありません。
就活で勝ち負けも決まりません。
結局は社会に出て何を為すか、入社後活躍できるかです。
就活という手段にとらわれず、まずは自分がどうやって社会に出ていけば良いのか、それまでにどんな時間の過ごし方をすべきなのか、少しだけ立ち止まって考えてみても良いのかもしれません。
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