【元フィギュアスケート選手】アスリートのセカンドキャリアを応援したい!経験者だからこそ分かるリスクと可能性

橋爪峻也

今回は元フィギュアスケート選手でサラリーマンに転身されたのち、自身の経験からアスリートのセカンドキャリアについてブログで発信されている橋爪峻也さんに取材させていただきました。

アスリートからサラリーマンに転身された橋爪さんのキャリアや、今後の展望をお聞きしていくなかで、リアルな体験談などの貴重なお話も聞くことができ、キャリアに悩みのあるすべての方に読んでいただきたい記事となりました。

 

スポーツ選手のセカンドキャリア

アイススケートをする橋爪峻也

フィギュアスケートを始めたのはいつ頃だったのでしょうか?

橋爪峻也さん:6歳の時です。僕は昔アメリカに住んでいたんですが、その時の友達が誕生日パーティにスケートリンクを貸し切ってくれて、良かったら来てよと招待してくれたんです。
滑ってみるととても楽しくて、親にフィギュアスケートを習ってみたいと言ったのがきっかけですね。

 

いきなりスケールのでかい話でびっくりしているんですが、アメリカでは誕生日パーティにスケートリンクを貸し切りにするんですか?

橋爪峻也さん:アメリカで言うスケートって、日本でいうボウリングみたいなものなんです。
日本でいうボウリングも誕生日とかに行ったりするじゃないですか。あれと同じで、アメリカだとスケートリンクに行きます。誕生日とかだと安くなるクーポンとかもあるらしいです。

 

そこからプロを目指されたのっていつ頃からなんでしょうか?

橋爪峻也さん:本格的にトップ選手になろうと決意したのは、7歳の時ですね。
スケートを習い始めて1年ぐらい経ってたんですけど、もう教室でもやることが無くなり始めてきていて、飽きて来た頃です(笑)。

夢っていうほどでは特になかったんですが、楽しかったからやっていました。

 

どうやったら、プロのフィギュアスケート選手になれるんですか?

橋爪峻也さん:僕は正確にはプロにはいかなかったんですよ。プロは団体とかに所属したりshowとかに出たりするんですけど、試合とかには基本的には出ないです。
アマチュアはテレビでそれこそ今やっているような羽生結弦選手とかがゴリゴリにやっているような、ああいう試合に出ることができる選手です。

また、フィギュアスケート選手になるには海外と国内で少々異なりますが、基本的国内では所属したいプロ団体に応募してオーディションを受けて合格したらプロのフィギュアスケート選手になれます。
ポジションの空くタイミングに依存はしますが、全日本のような大きな大会に出場経験があり、7級というフィギュアスケートの資格があればプロになれるケースがかなり多いです。

 

プロを目指されなかったのは何故なのでしょうか?

橋爪峻也さん:僕にとっては労働環境が厳しいと感じたためです。選手時代はプロにはならなかったですが、周りに羽生結弦選手とか上手い人を見て、ああなりたいなとは思っていました。

ただ、プロ選手は大体コーチ・インストラクター業と兼業しているのですが、僕は人に教えられる自信がなかったのが本音ですね。

 

ーフィギュアスケート選手を目指していた時の挫折経験などってありますか?

橋爪峻也さん:僕は怪我とかしやすいんです。頑張ろうと思った時に限って毎回ケガをしてしまうんです。
膝とか足関係が多いんですが、練習したいのにできなかったというのが多かったですね。

 

ーフィギュアスケートを辞められてから、どのようにして今の職業を選ばれたんですか?

橋爪峻也さん:実は今の会社で5社目なんですが、ざっくり現在の経験をいうとエンジニアをやっていた時に会社のWEBサイトを見てくれと言われ、会社のWEBサイトを見ているうちに、サイトに人を呼ぶにも「集客」といった部分がどうしても必要になってくると感じたんです。そこで、SEOの分野にたどり着きました。

僕のブログを運用していくうちにどうしたら色々な人にブログを見てもらえるかを考えながら、SEOなどの本を読み漁りました(笑)そうしていろんなメディアやSEOの知識がついてきたときに、そういうデジタルマーケティングのほうに向いているのかなと思うようになりました。

この経験が思いのほか企業の面接などで受けが良かったんです。「うちは検索広告に力入れてるけどSEOのほうには会社として全然力入れられてなくて…。」という反応をされることが多くて。
SEOって、答えのないことをひたすら仮説立てながら模索していく作業なので、答えはGoogleの人しか知らないですし(笑)そういうめぐり合わせから今の会社が見つかったという感じですね。

今は企業のSEO関係の業務に従事しているのですが、検索結果の上位に載るための工夫や施策を考えたり、オウンドメディアを立ち上げるために、運用やプランを考えています。

 

5社で働かれたということなんですがどんな経験をされてきたんでしょうか?

橋爪峻也さん:営業、エンジニア、マーケティングです。僕の中であっていたのがエンジニアとマーケティングが混ざったSEOですね。

僕は、インターネットがすごく好きなんですよ。日常生活だったり、仕事だったりで普段からインターネットには触れていますし、元論娯楽を楽しむっていうこともあるんですが、なんでこのサイトに人がこんなに集まるのかとか、この会社はなんで最近こんなに知名度が上がったのか、などを考えるのが好きなんです。

だから、仕事外でもこんなに考えてるってことは、それなりにあっているのかなと思っています。

 

理論立てて、仮説を検証していくといった作業がお好きなんですかね?

橋爪峻也さん:自分でカスタマージャーニーとか作るのも好きですし、人が作ったものを見るのも好きです。
会社がメディアやSNSを運用しているときに、どこの誰に向けて運用しているのかを考えることも好きです(笑)

 

営業はあまり続かなかったとういうことですが…。

橋爪峻也さん:そうですね。でも、僕は営業自体は嫌いではないんですよ。
最初、喋るのが好きだから営業が向いてるのかなと思っていたんですが、営業って実は喋るのはほんと少しだけで、基本的には秘書的なスキルが必要になってくるじゃないですか。

在庫管理とか、スケジュール管理、メールの管理や数字の管理。そういう細かい作業を地道にコツコツやっているほうが多くて。それが向いてなくて、緻密な確認作業みたいなのが苦手だと気づきました。

営業ってそういう細かい確認作業をしないと評価されないことに気が付いて、これは得意な分野じゃないなと思いました。

 

喋るのが好きだと営業!みたいな風潮ありますよね。

橋爪峻也さん:そうなんですよね。そこの偏見みたいなものも変えていきたいですよね(笑)

喋るのが好きだから営業という判断は絶対にやめたほうが良いと思います。
喋るのが苦手でも、秘書的なスキルがしっかりできる人は結局営業でも活躍できますからね。なんだかんだ世間話とかを喜ぶのは一部の客層だけなんですよね。

営業の本質って、売上を上げるための緻密な事務作業みたいなのが圧倒的に多いので、喋るのが好きなお客さんは喋れる人に任せれば、結局そこ以外は全部活躍できますし。喋るのが嫌いだから営業ができないってわけではないですね。

 

スポーツ選手にはとにかく幸せになってほしい

パソコンを触る橋爪峻也

企業に勤め出した今でも、フィギュアスケートに関するブログを運営されていると思うんですけど、ブログを始めようと思ったきっかけとか思いみたいなものはなんだったんですか?

橋爪峻也さん:15年間フィギュアスケートをやってきて、今までやってきたフィギュアスケートがなかったものになるのがもったいないなと思いました。
スケートってやっぱり高いスポーツですし、時間とお金を費やしたのに、何事もなく思い出として終わるのか…って思った時に、自分の体験談を発信してみようと思ったのがきっかけです。

あとは、僕がスポーツ一筋で就職したので、就職してから苦労することが多かったんです。
スポーツしか知らないから、勉強も全然してこなかったですし。
そういう苦労を他のスポーツ選手にはしてほしくなかったんです。しっかり努力して頑張ったのに、社会に出てから、常識だったりビジネス知識を知らないみたいなので、また苦労をしなきゃいけないのがもったいないなと思いました。

スポーツでしっかり下積みしてきたのに、社会人になってもまた一から下積みをして行かなきゃいけないみたいな。そういう人を減らしたいなって思いました。だから自分の体験談を発信して少しでも何かの参考になればいいなって思ったことがきっかけです。

 

スポーツ選手のセカンドキャリアってどれくらい厳しいものなのでしょうか?

橋爪峻也さん:すごく厳しいです。特にフィギュアスケートは最近有名になってきたとはいってもサッカーとか野球と比べるとまだまだで、経験を活かせる道も少ないです。

僕の周りの人間でも社会に出なきゃいけなくなって…みたいな人も多くて、そこはすごい課題だなと思いました。

 

スポーツ選手のセカンドキャリアってメディアでなかなか取り上げられない話題じゃないですか。今回それをブログに執筆するにあたって何か周りから大きな反響はありましたか?

橋爪峻也さん:一部の人はすごい共感してくれました。「自分も目指した道でうまくいかなかった経験がある…」とか。
他にも知り合いのスポーツ関係者だったり、後輩だったり、スケート関係者の方から1回お話してみたいとメールをいただいて。

それで取材しに行ったり、僕のブログ経由でその人に仕事がいったりとか、僕自身も仕事をいただけたりしました。
SNSのフォロワーも5000人くらいまで増えましたし、周りに認められたという実感はありました。

 

発信のきっかけは最初からブログだったんですか?それともTwitterでしょうか。

橋爪峻也さん:いや、もともとプログラマーだったんですよ。
営業をやってそこでも挫折して、プログラミングを学んでそれでインターネットについて詳しくなるじゃないですか

開発とかしていくうちにオウンドメディアを知って、自分のメディアを作れるなと思ったのがきっかけです。

元上司がアフィリエイトをやっていたんですけど。それでブログは知っていていて。とりあえずアフィリエイトするしないは置いといて、自分の体験談を発信してどれくらいの人が集まるのか興味があってとりあえずやってみたという流れですかね。

 

どういう記事が一番反響あったりしましたか?

橋爪峻也さん:でも、反響でいったら試合の解説ですね。
それこそ選手目線でのこの選手のすごさみたいなのを書いたnoteがすごく売れたりしました。

 

確かにそれは読んでみたいです!(笑)

橋爪峻也さん:フィギュアスケートの解説者って元トップ選手だった人たちが多いので当たり前のように技を解説するんですよ。当たり前にうまい人が、当たり前にうまい人たちの技を見て解説しても、そりゃ当たり前のように解説することになっちゃうじゃないですか。

別にそれが全然悪いことじゃなくて、それはそれでわかりやすくていいと思うんですけど、違った視点での解説があっても見てる人は面白いと思いますし、やってる側も自分の経験を活かせる利点があるなと思いました。

 

橋爪さんは今後ブログについてどのような展望を考えていらっしゃいますか?

橋爪峻也さん:僕はビジョンがしっかりあるんですけど、「スポーツ選手のセカンドキャリア支援」をしたいです。やっぱりアスリートには幸せになってほしいと思います。
やっぱりたくさん努力されてますし、そこは本当に報われてほしいです。そのために「道」を作れたらなと思ってます。

 

既に何か具体的な支援のアイデアみたいなものをお考えでしたら聞かせていただきたいです。

橋爪峻也さん:スポーツ選手専用のSNSを作ってみたいです。そこにいろんなスポーツ選手が各々の知見をためていけるような貯蔵庫を作ってファンはそれを見て、選手は自分の経験を活かせて。

その間にうまいこと企業とか絡んでくれればキャリア支援とかもできますし、ファン、選手、企業がメリットを感じられる場所、プラットフォームを作っていけたらいいなと思います。

 

すごく素敵です。それが実現したら夢を追いかける人がもっと真剣に夢を追いかけやすくなると思います。

橋爪峻也さん:夢って絶対1つじゃないといけないっていうルールはないじゃないですか。別に変わってもいいわけですし。
その辺の「マインド」もシェアしていけたらいいですよね。

別に夢を諦めたから、トッププロになれなかったから負けっていうような劣等感は持ってほしくなくて、そこも含めて考えを発信してもらって幸せになってほしいなと思います。

 

社会を知ることは自分を知ることにつながる

パソコンを触る橋爪峻也

shabellサービスについてどんな印象をお持ちになられましたか?

橋爪峻也さん:根本的なゴールが「キャリア支援」っていう意味では似てるなって思いました。

新卒採用とか日本の採用ってまだまだ課題がありますし、そこに対してうまいことアプローチしていくっていうのは自分のやりたいことと似ていますし、個人でやっているのでちょっとしたら限界が出てくるんですけど、企業としてやられているのでそこはポテンシャルもあります。さらに、人もすごい集まりますし、確率的にも高いです。

そこに僕が力になれるのであれば、その道のプロとして、僕のこともプロデュースできますし、shabellのコンテンツにもなれるという、良い関係になれるのかなと思いました。

 

スポーツ選手のセカンドキャリアに関するブログをかかれている中で、様々な方から既に相談をいただいたとお聞きしたんですが、具体的にどんな相談が多かったですか?

橋爪峻也さん:就活関係が多くて、自分の軸だったり、価値観がスポーツを辞めた途端に迷子になって…といったような相談は多かったですね。自分が何をしたいのかわからないとか、引退してどうしようとか。

それでESの添削をしたり、働くことでのマインドシェアだったり、ビジネスの考え方とスポーツの考え方の変換の仕方とか。こういう考えをしたらもっと活かせるんじゃないのとか話しました。

 

セカンドキャリアで迷っている方に対してどういった言葉をかけられるんですか?

橋爪峻也さん:結局そこで迷子になっていないということを伝えます。スポーツをやってきた時点で、自分の中にしっかりとした軸があるはずで、そこがまだ言語化できていないので、そこをうまく言語化するために、レクチャーするっていう感じですね。

その人から出てきた言葉でその人と話をしながら、仕事とか企業に当てはめていきます。

 

やはり、迷われてても結局は自分の中に軸を持っている人が多かったりするんですか?

橋爪峻也さん:多いですね。本当に気づいてないだけで。言語化の習慣もないですし。
今まで自分は競技のことしか考えてこなかったという人も多いので、そこは仕方ないことですが。

ただ、絶対自分の中に言語化できる軸とか価値観があるはずなので、そこにどう気づいてアピールしていくかがポイントになると思います。

 

橋爪さんは現役時代から言語化を意識されてきてたんですか?

橋爪峻也さん:そんなことはなくて、僕自身が本当にできなかったんですよ。だからこそ人一倍気持ちがわかるというか。
なんとなくやってるみたいな感じなんですけど、言語化の大切さは、社会に出てから痛感しましたよね。
伝え方ひとつでなんにでも変わっちゃうので。

やっぱり言語化できないものには価値はないですし、言語化できると価値がそれに付くわけですから、それに関してはプログラミングやっていても思いましたし、逆に社会で働いてても言語化できなくて自分の気持ちを伝えられなかったり、怒られたりして悔しい思いもたくさんしてきたので。そこで言語化の重要さに気づきました。

 

社会に出て一番壁だなと感じたのは「言語化」ですか?

橋爪峻也さん:そうですね。文章一つとってもそうですし。言語化するためには、いろいろ知識が必要じゃないですか。

でも、その知識の学習方法も知らなかったので、スポーツに関してはわかるけど、それ以外に関してはどうなのかってなったときにどうしても悩んでしまいました。

 

もし過去にshabellがあったら誰にどんな相談をしてみたいですか?

橋爪峻也さん:同じ競技をしている人を探しますね。その人が今楽しそうかどうかが気になります。やっぱり、つまらなさそうにしていたらそんな風にはなりたくないですし。

特に、スポーツを引退してからも楽しそうに生きているのかはすごく重要な気がします。自分の軸が見つからずに悩んでいる人とかに聞こうとは思いませんよね(笑)

自分に軸があって、こうだから楽しい、こういう風に頑張っているとはっきり言えるような人に話を聞きたいですよね。

あとはキャリアじゃないですかね。こういう会社で働いていたとか、なんかそれなりの自分の興味のある業界の経験をしていたら興味は持ちます。

 

最後に、未来ある若者にメッセージをください。

橋爪峻也さん:勉強をしっかりしてほしいです。学校の勉強じゃなくて、世間とか社会とか。
どんな会社があって、どんな会社が凄くて、世間は今何が流行っているのか。

なぜ流行っているのか、なぜすごいのかに興味を持って、世の中の仕組みとか考え方を常に意識すれば、考える癖がつくし、自分のやりたいことだって見つかってくる。
より、自分のゴールが見つけやすくなるんじゃないですかね。

それこそ、本当にびっくりしたのが、就活とかすると年収とか知名度で誰もが知っているような企業ってあるじゃないですか。そういう側面を、スポーツ選手だと全く知らない人とかいるので。
別に詳しくなれとは言いませんが、最低限は知っていてほしいですよね(笑)

そうすることで、自分の視野も広がりますし、軸だったり、やりたいことをより発見しやすくなると思います。

***

今回はスポーツ選手のセカンドキャリア発信についてのパイオニア的立ち位置である橋爪峻也さんにインタビューさせていただきました。

橋爪さんは自身の経験をもとにインタビュー中、何度もスポーツ選手には幸せになってほしいとをおっしゃっていました。
スポーツ選手として自分が社会に出た時に苦労されたからこそ語れる橋爪さんの言葉はとても説得力がありました。
これからもスポーツ選手のセカンドキャリア支援に関わりたいとはっきりとした軸で、夢を語られた橋爪さん。今後のご活躍もすごく楽しみです。

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橋爪峻也さん
はしづめ としや|マーケター 元フィギュアスケーター


アメリカ在住中に友達に誘われたのがきっかけでフィギアスケートを始める。日本日本スケート連盟ジュニア強化選手に指定され、全日本選手権に出場するなど輝かしい成績を収めるも15年続けたスケートを引退。その後、自身が苦労したというアスリートのセカンドキャリアについてブログ「ヅメブログ」を立ち上げ、自身の体験を発信している。

 

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橋爪峻也
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