今回は、聴く人の気持ちを勇気づけ、前向きにしてくれるような素敵な名曲の数々を生み出しているアーティストであるRAM WIREのボーカル ユーズさんに取材させていただきました!
何度も紆余曲折しながら、アーティストとして悲願のメジャーデビューを果たせたにも関わらず、心の中では心配のほうが大きかったと語るユーズさん。
メジャーデビューまでの経緯や、その時の心境、アーティストとしてのキャリアについて伺いました。
アーティストを目指している方や、自身のキャリアについて悩んでいる方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
歌を聞いてもらうのがとにかく嬉しかった
ーユーズさんは学生時代、どんな学生でした?
ユーズさん:女の子同士のグループの付き合いが苦手で、みんなでトイレ行ったり、お弁当食べるのを待ったりに違和感を感じていたので、結構一人で行動していました。周囲に合わせることができなかったです。女の子特有の付き合いが苦手だったのかも。
高校の時は、写真部に所属していたんですけど、まだ写真とかカメラがアートとして主流になる前だったので、当時は男の人が多くてどちらかというとカメラはオタク的な扱いをされていました。
今はそんなことはないですけど。女の子で1人で写真部にはいっていたから不思議に見られていたかもしれません(笑)
ーなぜ、写真部に入られていたんですか?
ユーズさん:当時、よくタワーレコードで、CDのジャケットとか写真集とか、かっこよく見える写真をよく好んで眺めていたんです。
おしゃれな女の子の写真を撮るヒロミックスさんという写真家の方がいたんですが、その方に刺激を受けて、写真に興味を持ちました。
廊下に貼られている蛇口で生徒が水を飲んでいるような白黒の写真も、こんな風に日常の瞬間を切り取れるんだって感動したのを覚えています。
ーでは、ユーズさんが歌手を目指されたのっていつ頃からなのでしょうか。
ユーズさん:私の場合は23歳からで、一般的な年齢と比較すると遅かったですね。それまでクラブとかで歌ってはいたんですけど、プロになろうとは全然思っていなかったです。
なんとなく、クラブで歌っていただけですね(笑)
自作のオリジナルのソングを聴いてもらえるのが嬉しかったので、当時は何かになりたいといった目標はありませんでした。
ーきっかけはなんだったんですか?
ユーズさん:RAM WIREのメンバーでもあるMONCH(モンチ)と、デモテープとかをレコード会社とかに送っていたんですけど、それに関しては無理だって気持ちのほうが大きかったです。
でももう手当たり次第にMONCHがレコード会社にデモテープを送ってくれていたから、だんだんメールだったり、電話だったりで返答が返ってき始めました。その時がもう既に22歳、23歳で、私も「あれ?もしかしたら何とかなるのかな」と思い始めました。
ー作詞はいつからされていたんですか?
ユーズさん:20歳ぐらいです。その時はビョークみたいなのを意識しながら作っていたので、4つ打ちのビートでテクノっぽい音楽を作っていました。当初は自分で歌おうとは思ってなかったので、私の作った歌を代わりに歌ってくれる人を探していたんです。
ですが、なかなか見つからず、自分で試行錯誤しながら歌ってみると意外と好評だったので、自分でも驚きました。
そこから、もっとやってみようと思いました。
ーその音源はYouTubeみたいな何かのWEB媒体などに載せて聞いてもらったんですか?
ユーズさん:20年以上前ですし、まだYouTubeが有名になる前で、テープに吹き込んでクラブで配ったりして聞いてもらっていました。全然SNSに載せたりしなかったですね。今は誰だって発信できる環境があるけど、当時あったSNSを使うという発想には至らなかったです(笑)
1本1本テープに録音して作っていたので、手間はかかるし、テープもタダで配っていたのでお金も1本ずつにかかっていました。ジャケットも自分たちで作ったりして。1個1個手作業でやっていましたね。
今はSNSに乗せたら何千万人に届く可能性もありますけど、当時はテープを配るしかないと思ってがむしゃらに配り続けていました。
ー当時はそれが主流だったんですか?
ユーズさん:そうですね。配るといっても、親戚だったり、身内の友達だったり、クラブに来たお客さんやいつも遊んでいる友達だったので、コミュニティ的には狭いところでやっていました。路上ライブもしてましたけど、500円でテープを販売したりして地味に活動してました。
今の時代ならもっと効率よくできるかもしれないですけど(笑)
正直不安が大きかった
ークラブで歌い始めたきっかけは何だったんですか?
ユーズさん:当時の彼氏がテクノのDJをやっていて、その時に打ち込んで曲を作れる機材を買って、4つ打ちの曲を作っていました。そこに歌を入れたいなと思い始めたのがきっかけです。
彼氏のDJとかを聞きに行って、こういう仕事ってかっこいいなって思いました。ターンテーブルとレコードを買って真似してDJもやってみたんですけど得意じゃないと思いました。
自分のペースで作ったものをゆっくり形にしていく方があっているなと思って、それで作るほうがいいかなって思いました。音楽は周りが褒めてくれたからすごく嬉しくなってその時はずっと夢中になってやっていました。
ーインディーズ時代からメジャーデビューまでの経緯を教えていただけますか?
ユーズさん:デモテープをレコード会社に何社か送って、声をかけていただいたレコード会社にかたっぱしから行ったんですけど、だんだん有名なアーティストの方が所属しているような大きなレコード会社から声がかかるようになって、少しずつ現実味がわいてきました。
そして、何社か実際にライブを見に来てくださるんですけど、私が緊張して歌詞が飛んで、失敗も悔しい思いもたくさんしました。勝負に弱いところが出てしまって…。それでデビューまでに時間がかかってしまったのもあります。
そんな時に「COME TO MAJOR」という大きなオーディションが開催されました。
それは1位になったらメジャーデビューできるという特典付きで、全国で何千組も参加している中で最終候補の10組まで残ったんです。大がかりなオーディションで1年くらいかけて行われていたんですけど、結果としては頑張ったんですけど、最終まで残れたけど優勝は出来なかったんです。
その時に家族とか親戚からも、年齢的にもそろそろアーティストの諦めて働きなさいみたいな空気になっていたから、気持ちを切り替えて頑張るのがすごくきつくて、苦しかったです。
ーそれは、デビュー前の一番きつかった挫折体験にもなるんですか?
ユーズさん:そうですね。落ちた日にたくさんお酒を飲んだのを覚えてます(笑)
あるとき、RYLL(リル)が他のアーティストのトラックとか作って居たりしたんですけど、Def Techさんとか、Spontaniaさんとかの曲を作っていて、その時の曲が結構売れたんですよ。
それで、RYLLがソニーの方と顔を合わせる機会があって、その時に私たちのデモテープも「僕こんなのもやってるんです!」って売り込んでくれて、聞いていただいたんです。
そこでやっと、興味を持っていただけました。RYLLがいなかったら、デビューは出来てなかったから本当に有難く思います。
ーそれは、先ほど伺ったオーディションの結果からすぐだったんですか。
ユーズさん:ちょっと時間は立ってました。オーディションの結果が出てからもひっそりとクラブで歌ったり、デモテープとかをレコード会社に送ってチャンスを作ろうとしていたんですけど、結局RYLLのつながりからデビューできたというか。
それでライブをソニーの方が見に来てくださいました。
ーデビューまでの挫折体験もあるからこそ、デビューの瞬間はどんなお気持ちでしたか?
ユーズさん:下積みも長くて時間がかかったので、メジャーデビューしたときは既に30歳を過ぎていたし正直嬉しいというよりは心配のほうが強かったです。
音楽の世界が甘くないって年齢的にも、理解しているからこそ、アーティストとしてその中で戦えるのかと現実に焦っていました。
すごい人たちがいる中に挑戦していくわけなので、気持ちとしては複雑でしたね。
ーユーズさんにとって、お仕事のやりがいはなんですか?
ユーズさん:有難いことにSNSとかで、ファンの方からDMをいただくんですけど、RAM WIREって「応援」的な歌が多いので、曲を聴いた人が「こんな苦労があったんですけど、この曲聴いてもう一度頑張ってみようと思いました!」「お店をたたまないときついんですけど、いつも来てくれているお客さんのために頑張ります」とか、リアルなメッセージがたくさん来るんです。
そういうメッセージは、私が落ち込んでいた時に支えてもらいました。
ーRAM WIREの楽曲の中に人間の持つ弱い部分に寄り添ってくれるような素晴らしい歌詞が多いと思うんですが、ユーズさんの経験などからきているんでしょうか?
ユーズさん:ほぼ私の経験からきていますね。私自身も弱い部分があるので、どうしようもないなと思ってくじけて。でも、それを奮い立たせるために私自身に言っているところもあります。
お客さんに伝えながらも、同時に私自身にも言っているような…。
あんまり、フィクションを書くことが得意ではなくて、経験からしんどかったこととか、荒んでいることとか、自棄になっている気持ちとか、そういうのを白い紙に単語で吐き出すように書きなぐって、そこから摘み取って歌詞にしていくんです。出てきたものから歌詞にしていくというか。
だから、最初はどこかで傷ついたり卑屈になったりしていると思うんですよね。
でも、そこをうまく描けないと励ましの言葉も、前向きな言葉もすとんと入ってこないから、そこまで掘り下げてから出すようにしています。私の中では形にはなっていないかもしれないですけど(笑)文句とか、自分に対して苛立つ気持ちを書いている下手くそな日記みたいなものです。でも、自分ですべてを生み出すというより、かけてもらった言葉とか、TwitterのDMから前向きな歌詞を思いついたりもしてきました。
ー難しい質問なんですが、アーティストさんにとって歌っていつ完成するんですか?
ユーズさん:ライブで歌って、お客さんの前で初めて披露した時に、それぞれの経験や価値観で聴いてくれるじゃないですか。一人一人によって受け取り方は一つずつ違って。その気持ちをそれぞれに持ち帰ってもらうっていうのが一番だと思いますね。その時に完成すると思います。
ーたくさんの苦労を経験されたユーズさんですが、それでもアーティストとしてキャリアを重ねていけたモチベーションってなんでしょうか?
ユーズさん:とにかくライブが生きがいでした。直接お客さんに聴いてもらえるし。それぞれが曲をどう受け取ってくれたかは言わずともわかるんですよね。目だったり、泣きそうな顔で私たちを見てくれたり。
うまく言えないですが、あの瞬間はこっちも思わずグッときますよね。お客さんの目を見ながら歌ってると泣きそうになります。伝わっていると嬉しいし、あの瞬間が最高なんでしょうね。
ライブも今はコロナ厳しくて、ほとんどやれてないんですけど。早く何とかなってほしいです。
ーshabellというサービスを知ったとき、どんな印象を受けましたか?
ユーズさん:今までにないサービスだな!と思いました。プロが自分のために時間を使ってくれるて、しかも話を直接聞けるってすごいなって。このサービスも相談者が料金を払ってるからこそ、相手の覚悟もわかって、こちらも気兼ねなく話せますし。なんでも聞けるってすごいですよね。
しかも、アプリ見たら職種もたくさんあって…。アーティスト以外の方とも話してみたいです(笑)登録しているプロの方のお話を聞いて行くだけで、その方たちの人生にストーリーがあるし「情熱大陸」みたいになりそうですよね(笑)
今後も、いろんなやり方がありそうですね。
ー今後アプリに期待することなどありましたら教えていただけますか?
ユーズさん:若い人たちが広い視野で夢を考えるようになってほしいです。いろんな人から話を聞いて決断してもいいと思うし、夢を見つける場になってもいいし。
いろんな人の話を聞けるということはすごく可能性の広がることだと思います。だから、若いうちに道をいろんな視野で夢を探していってほしいです。
ー最後の質問になりますが、夢を追いかけているようなこれから相談者になりうる人に何かメッセージをいただけますか?
ユーズさん:将来が心配になって、歩くペースを緩めちゃったり、しゃがんじゃったりしてしまうこともたくさんあるけど、どんな穴に落ちても、その穴からつけてくれる手はたくさんあると思うんですよね。
それは音楽だったり、映画だったり、人の手じゃないかもしれないし、友達だったり、親族だったりするかもしれないけどそんなに恐れないで若いうちはがむしゃらに突っ走ればいいと思います。
私は20代のうちは大きな穴に落ちてもなんとかなると思っています。
だから思うように、一段飛ばしでも階段を駆け上がっていってほしいです。
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今回はアーティストとして活躍されているRAM WIREのボーカル・ユーズさんに取材をさせていただきました。
「うまく歩かなくていいから一歩ずつ君らしくあれ僕らはしゃがみ込む度にそうそこに咲く花を知る」
これはRAM WIREの「歩み」という楽曲の1フレーズです。
名曲とは色褪せないもので、時がたっても以前とは違う感じ方で曲を聞くことができます。この曲を聞くとポジティブな気持ちになり、また頑張ろうと思えます。たくさんの苦労を経験されながらも、アーティストとしてキャリアを重ねてきたユーズさん。多くの人に支持されるような素敵な歌詞を生み出しているのは、その苦労を乗り越えるまでに、人一倍たくさんの悲しいことや苦しいことを経験されているからではないでしょうか。
shabellbaseでは、ユーズさんをはじめとした素晴らしいプロの方たちの多種多様なキャリアを紹介しています。
あなたの夢探しやライフプランに役立つヒントを見つけてみてください。
- ユーズさん
ゆーず|歌手 作詞家2010年ソニー・ミュージックよりメジャーデビュー
1st single「歩み」が映画「僕たちは世界を変えることができない。」主題歌に大抜擢される。
その後、2016年4月に活動休止を発表。2016年5月よりソロ楽曲を制作。現在もバンドサウンドにてソロ活動を続けている。RAM WIRE Official website:http://www.ramwire.com/
今回は2023年6月23日にソロシングル『Another Story』をリリースした、RAM WIREのボーカル ユーズさんにインタビューしてきました。2016年にグループ活動休止を宣言したRAM WIREですが、今もなお、その曲に[…]