ボーナスは、働く人にとって大きな楽しみのひとつです。
特に20代の若手社員にとって、自分のボーナスが平均と比べて多いのか少ないのか、気になるところではないでしょうか。
本記事では、2024年時点の最新データをもとに、20代のボーナス平均額をわかりやすく解説します。また、業種別(業界別)のボーナスの違いや、実際の手取り額の計算例、ボーナスの支給回数・時期、ボーナス額を増やす方法、さらによくある質問への回答も紹介します。ぜひ最後まで読んで、「自分のボーナスは多い?少ない?これからどうしたら増えるの?」という疑問を解消しましょう。
ボーナスとは?まずは基本の仕組みを解説
はじめに、ボーナス(賞与)の基本的な仕組みについて説明します。
ボーナスとは、会社から通常の給与とは別に支払われる特別なお金のことです。多くの企業では夏と冬の年2回、業績や個人の働きぶりに応じて支給されます。
例えば「夏季賞与(※夏のボーナス)」「冬季賞与(※冬のボーナス)」と呼ばれ、6~7月頃と12月頃に支払われるケースが一般的です。ただし、これは企業によって異なり、決まった法律があるわけではありません。民間企業のボーナスは法律で支給が義務付けられているわけではなく、支給するかどうかや計算方法は各社の規定次第となっています。つまり、ボーナスの有無や金額は会社ごとに違うのです。
ボーナスは企業の業績や、個々の社員の人事評価によって支給額が決まることが多いです。「基本給の○ヶ月分+評価に応じた加算」のような計算式を用いる会社もあります。例えば「基本給20万円で基本給の2ヶ月分が支給額」と決まっていれば、その人のボーナス額面(支給額)は40万円になります。さらに社員ごとの評価係数が掛け合わされ、最終的な支給額が算出される仕組みです。新入社員など入社1年目の場合は、在籍期間が短いため満額支給されなかったり、ごく少額(寸志〈すんし〉程度)にとどまることもあります。一方、公務員のボーナスは国家公務員で年2回(6月30日と12月10日)と法律で支給日が定められており、安定して支給される点が民間と異なります。
20代のボーナス平均支給額はどのくらい?
それでは本題の20代のボーナス平均額について、最新データを見てみましょう。転職サービスdoda(デューダ)が2024年に行った大規模調査によると、20代の年間ボーナス平均支給額は約74.8万円でした。
この金額は前年(2023年)の約70.9万円から約3.9万円増加しており、20代のボーナスは上昇傾向にあります。同じ調査では全世代平均の年間ボーナスが約106.7万円だったので、20代は全体平均より低めですが、若手にもボーナス増加の流れが及んでいることがわかります。
20代のボーナス約74.8万円というのは年額(1年間の合計)です。多くの企業では年2回支給のため、単純計算すると1回あたり平均約37万円程度になります。この金額だけ聞くと「自分はそんなにもらってない…」と感じる人もいるかもしれません。しかし、20代と一口に言っても年齢や経験年数によって差が大きい点に注意が必要です。調査データによれば、20~24歳の年間ボーナス平均額は約37.9万円なのに対し、25~29歳では約66.3万円と大きく差があります。
20代前半は新入社員が多く、ボーナスが出なかったり少額だったりする人が多いため平均が低めになります。一方、20代後半になると入社数年で給与も上がり、ある程度まとまったボーナスを受け取る人が増えるため平均額が高くなるのです。
また、20代で年間ボーナスが100万円を超える人はまだ半数に満たないものの、年々増加しています。2023年の調査では20代の約26.9%だったのが、2024年調査では33.8%と約1/3に増えました。このことから、「ボーナス100万円超え」は20代ではまだレアだが、徐々に一般的になりつつあると言えます。自分のボーナス額と比較するときは、こうした年代内のばらつきや増加傾向も考慮するとよいでしょう。
業種や企業規模でこんなに違う!業界別ボーナス傾向
一口にボーナスと言っても、働く業種(業界)や会社の規模によって支給額には大きな差があります。
まず業種別に見ると、高収入の業界はボーナスも高い傾向があります。例えば金融業・保険業では年間平均約153.1万円ものボーナスが支給されており、電気・ガスなどインフラ業界も約142.9万円と非常に高水準です。他にも情報通信業(IT関連)や専門技術サービス業などは年間100万円超えが多く見られます。一方で、宿泊業や飲食サービス業などはボーナスが低い傾向で、年間約33.6万円と他業界に比べてかなり少ない水準となっています。このように、業界によってボーナス額の差は数倍以上になることもあります。業界全体の景気や収益性、人件費に充てられる余裕などが影響していると考えられます。
企業規模(会社の大きさ)による違いも見逃せません。一般的に、大企業ほどボーナスが多く、中小企業では少ない傾向があります。
目安としては、大企業ではボーナス支給額が月給の約2~3ヶ月分、中小企業では約1ヶ月分とも言われます。例えば、公務員の場合は法律に基づき約4ヶ月分(年2回合計)支給されますが、民間の小規模企業では業績次第ではボーナス無しということも珍しくありません。実際の統計でも、従業員500人以上の企業では夏のボーナス平均が約65万円なのに対し、従業員30~99人規模では約33万円と倍近い差が報告されています。
このように、「どの業界で」「どの規模の会社に」勤めるかでボーナスの水準は大きく変わるのです。
自分のボーナスが平均より少ないと感じる場合、働いている業界や会社規模の影響も考えてみましょう。例えば「同じ20代でも大企業の人はたくさんもらっているけど、自分の会社(中小企業)は業績も厳しく少なめ」といったケースは珍しくありません。逆に、高額ボーナスの業界はその分競争も激しかったり必要なスキルが高かったりすることもあります。将来の進路を考える際には、こうした業界ごとの特徴も知っておくとよいでしょう。
ボーナスは平均年何回、いつ支給されるのか?
ボーナスの支給回数や支給時期も企業によってさまざまですが、日本の企業では一般的に年2回(夏と冬)支給するところが多いです。
一般的なボーナスが支給される時期は?
例えば夏のボーナスは6~7月頃、冬のボーナスは12月頃に支給されるケースが一般的です。
これは多くの会社の決算期(会計年度末)が3月であることから、上半期の成果を夏に、通期の成果を冬に反映させるためとされています。ただし、会社によっては年度末(3月頃)に決算賞与を支給する場合もあります。また年1回だけボーナスを出す会社や、業績次第でボーナスなしとなる会社もあります。繰り返しになりますが、民間企業のボーナスは法律で必ず支給時期が決まっているわけではなく、就業規則や会社の慣習によって決まるのです。
公務員のボーナスはいつ?
公務員の場合は法律により支給日が明確に決められています。国家公務員の場合は夏のボーナスが6月30日、冬のボーナスが12月10日と支給日まで法律で定められており、安定して年2回支給されます。民間企業ではそこまで厳密ではないものの、多くの企業が公務員に準じて夏・冬の年2回支給を行っているのが現状です。
新入社員のボーナス時期に注意!
新しく会社に入った人(例えば4月入社の新卒社員)の場合、初めての夏にはボーナスがもらえないことがあります。
これは「支給日在籍要件」や「査定期間」の関係で、入社して間もない時期には評価期間に含まれず支給対象外となるためです。会社によっては初回ボーナスを冬から支給したり、夏は寸志程度を支給するところもあります。中途入社した場合も、直後のボーナスは在籍期間が短いため減額・無支給となるケースがあるので覚えておきましょう。
ボーナスの金額はどうやって決まるの?
これは多くの人が疑問に思う点です。ボーナスの算出方法は会社によって異なりますが、一般的な仕組みを説明します。
企業はまずボーナス原資を決めます。これは会社の業績(利益額など)に応じて増減します。業績が良ければ原資が増え、悪ければ減るので、その年の会社の調子がボーナス全体の額を左右します。
次に個人への配分ですが、多くの会社では「基本給 × ○ヶ月分」をベースに計算します。例えば基本給が月20万円の人に「基本給の2ヶ月分」を支給すると決めれば、その人の基本ボーナス額は40万円です。
そしてここに人事評価(社内での仕事ぶりの評価)による調整が入ります。社員一人ひとりについて、目標達成度や業績貢献度などを評価し、S・A・B・Cなどランク付けをして評価係数を決める方式が典型例です。たとえば評価が真ん中の人は係数1.0、トップ評価の人は1.2、下位評価の人は0.8といった具合です。この係数を基本ボーナス額に掛け合わせることで最終的な支給額が算出されます。
【計算例】
基本給20万円、ボーナス支給基準2ヶ月、評価ランクA(係数1.1)の場合
基本ボーナス = 20万円 × 2ヶ月 = 40万円(額面)
評価係数による調整後ボーナス = 40万円 × 1.1 = 44万円(額面支給額)
(会社によっては評価係数ではなく、評価ごとに定額の加算・減額をする場合もあります。)
以上は一例ですが、会社ごとにボーナス計算方法は様々です。中には全社員一律で○ヶ月分とし、あまり個人差をつけない会社もあります。また業績連動が強い会社では、会社の利益目標の達成度合いでボーナス全体が大きく増減し、個人評価より会社業績の割合が大きいこともあります。
さらに営業職などではインセンティブ(歩合給)のような形で、売上高に応じて特別賞与が加わることもあります。いずれにせよ、「業績」と「個人評価」の二本柱で決まるケースが多いと言えるでしょう。
【ポイント】
ボーナス査定の時期になると、自分の評価がどうなるか不安になります。評価を上げるためには日頃から目標を意識し成果を出すこと、上司とコミュニケーションをとって自分の貢献をアピールすることも大切です。また、自社のボーナス制度(計算方法や評価基準)を社員向けハンドブックなどで確認し、どのような点が評価に影響するのか知っておくと良いでしょう。
ボーナスの手取り額はいくら?計算例と目安を紹介
ボーナスの話で忘れてはならないのが「手取り額」です。ボーナス支給額が発表されて「やった!」と思っても、実際に振り込まれる額(手取り)はそこから税金や社会保険料が引かれた額になります。では、ボーナスの手取りはだいたいどのくらいになるのでしょうか?
ボーナスの手取り額は?
結論から言うと、ボーナスの手取り額は「額面の約7~8割程度」と覚えておくと良いです。例えば、額面が100万円のボーナスだとすると、手取りは約70~80万円ほどになる計算です。額面50万円なら手取りは35~40万円前後が目安です。かなり引かれる印象ですが、これは所得税や社会保険料がまとめて差し引かれるためです。
具体的に引かれるものは、大きく2種類あります。ひとつは社会保険料(健康保険や厚生年金保険など)で、もうひとつは所得税(源泉徴収)です。社会保険料はボーナスにもかかり、標準報酬額に基づいて計算されます。また、所得税はボーナス専用の源泉徴収税率表に従って計算され、家族扶養の有無や前月給与額によっても変わります。ちょっと難しいですが、簡単に言えば給与と同様にボーナスにも税金がかかるということです。
【計算例】
額面ボーナス50万円、独身、社会保険は協会けんぽ加入の場合
社会保険料約4~5万円+所得税約3~4万円が天引き → 手取り額は約42万円前後
上記は一例ですが、扶養家族がいると所得税が多少軽くなるなど、人によって差はあります。それでも「額面の2割~3割は控除で消える」と考えておくと大きなズレはないでしょう。なお、ボーナスには住民税はかかりません(毎月の給与から引かれているため)が、社会保険料と所得税の負担はあるので、「ボーナス=丸ごと自由に使えるお金」ではない点に注意が必要です。
自分のボーナスが20代の平均より少ない…その理由は?
ここまで平均額や計算方法を見てきて、「自分のボーナスが平均より少ない気がする…」と感じた方もいるかもしれません。20代の平均は年間約75万円でしたが、それより少ない場合、いくつか考えられる理由があります。
【自分のボーナスが20代の平均より少ない理由は?】
・年齢・勤続年数の影響
・会社の規模・業績の影響
・業界水準の違い
・個人評価や成果
・支給回数の違い
1. 年齢・勤続年数の影響
先述のとおり、20代前半と後半ではボーナス額に差があります。入社1~2年目だとまだ給与自体が低く、評価期間も短いためボーナスが少額になる傾向があります。新人のうちは「標準より少なくて当たり前」くらいに考えて大丈夫です。
2. 会社の規模・業績の影響
自分の会社が中小企業だったり業績が思わしくなかったりすると、会社全体のボーナス原資が少ないことがあります。その結果、平均より低い支給額になってしまうことがあります。逆に大企業や業績好調な企業では平均以上のボーナスが出ることもあります。会社ごとの事情が大きく影響する点を覚えておきましょう。
3. 業界水準の違い
自分が働く業界自体が全体的にボーナス水準が低い可能性もあります。例えばサービス業や飲食業では他業界よりボーナスが少ない傾向があり、同じ20代でも「業界が違えばこんなに差が?」ということがあります。自分の業界の平均と比較してみると、「業界の問題で低めだったんだ」と納得できるかもしれません。
4. 個人評価や成果
ボーナスには個人の評価も反映されます。もし周りの同僚より自分だけボーナスが少ないと感じるなら、評価が平均より低かった可能性があります。頑張りが評価につながらなかった場合や、目標未達成だった場合などです。ただし新人のうちは差をつけない会社も多いので、評価差で極端に変わるのは中堅以降でしょう。
5. 支給回数の違い
年3回ボーナスがある企業もありますが、多くは年2回です。もし自分の会社が年1回支給の場合、単純計算で他より半分になってしまいます。また半期ごとの業績連動で変動が大きい会社だと、片方のシーズンはゼロだったというケースも。支給回数やタイミングによるズレも考えられます。
以上のように、ボーナスが平均より少ないのには様々な理由があり得ます。「自分の努力が足りないから…」と落ち込む前に、自分の状況を客観的に分析してみましょう。そして「来年こそ増やしたい!」と思ったら、次の章で紹介するボーナスを増やす方法を実践してみてください。
20代でボーナスを増やすには?将来に向けたポイント
ボーナスをもっと増やしたい! 20代のうちからそう考えるのは、とても良いことです。ボーナス額を増やすために、どんな工夫や行動ができるでしょうか?いくつかポイントを紹介します。
【20代でボーナスを増やすための5つのこと】
・スキルアップと成果を出す
・目標を明確にして上司と共有
・部署異動や職種転向を検討
・転職を視野に入れる
・副業や収入源の分散
スキルアップと成果を出す
まずは今の仕事で評価を上げることが王道です。資格取得や専門スキルの習得、難しいプロジェクトへの挑戦など、仕事の実績を作りましょう。評価ランクが上がれば、その分ボーナスの評価係数も上がり、支給額アップにつながります。
目標を明確にして上司と共有
自分の目標ややるべきことを上司と話し合い、評価基準を把握することも大切です。評価されやすいポイント(例えば売上やKPIなどの達成目標)を意識して働くことで、成果がボーナスに反映されやすくなります。
部署異動や職種転向を検討
もし可能であれば、よりボーナス水準の高い部署や職種にチャレンジするのも一手です。【企画/管理系】の職種はボーナスが高い傾向があるというデータもあります。営業から企画職に異動する、現場作業から本社スタッフに転向する、などキャリアチェンジによって収入アップを狙う人もいます。
転職を視野に入れる
思い切った方法ですが、ボーナスが高い企業や業界へ転職するのも20代なら選択肢です。例えば金融やIT、大手メーカーなどはボーナス水準が高めです。ただしその分競争も激しいので、転職するなら十分な準備と覚悟が必要です。また転職直後はボーナスがもらえない期間が発生する点にも注意です。
副業や収入源の分散
直接ボーナス額を増やす方法ではありませんが、20代のうちに副業など収入源を複数持つことで収入全体を底上げするのも有効です。最近は副業解禁の企業も増えており、スキルを活かして副収入を得ている若手もいます。ただし本業に支障が出ない範囲で行うことが大前提です。
ボーナスに関するよくある質問【Q&A】
最後に、ボーナスについてのよくある質問にQ&A形式で答えます。中高生の方や保護者の方にもイメージしやすいように、基本的な疑問をまとめました。
Q. 「賞与」と「ボーナス」は何が違うの?
A. 意味は同じです。
賞与(しょうよ)は正式な日本語・法律用語で、ボーナスは英語由来の日常的な呼び方です。企業の就業規則などには「賞与」と書かれていますが、社員同士の会話では「ボーナス」という言葉が使われることがほとんどです。どちらも基本的には同じものだと考えて差し支えありません。
Q. アルバイトやパート、契約社員にもボーナスは出るの?
A. 正社員以外では支給しない会社が多いです。
ただし近年は正社員と非正規社員の待遇差を無くす流れもあり、契約社員や一部のアルバイトにボーナス(賞与)を支給する企業も出てきています。とはいえ割合としては少数派で、ボーナス制度があるかどうかは雇用形態や会社のポリシーによります。アルバイトには代わりにミニボーナス(報奨金)や期末手当として一時金を出す企業もありますが、金額は正社員の賞与よりかなり低めです。
Q. 業績が悪いとボーナスはゼロになることもあるの?
A. 残念ながら、あり得ます。
ボーナスは法律で保証された給料ではないため、会社の業績次第では「支給無し」ということも現実に起こります。特に景気が悪かったり会社が赤字続きだったりすると、ボーナスカット(支給ゼロも含む)を行う企業もあります。また個人の成績不振で評価が最低ランクになると、ごく少額しかもらえないケースもあります。逆に業績絶好調の年には臨時で特別ボーナスが出ることもあります。このようにボーナスは変動しうるものなので、「出たらラッキー、出なくても生活できる」くらいの心構えでいると精神的にも楽です。
まとめ
20代のボーナス事情について、平均額から仕組み、業界差、手取り計算、増やし方、そしてよくある疑問まで幅広く解説しました。
「自分のボーナスは多い?少ない?」という問いに答えるには、単に平均と比べるだけでなく、自分の年齢・業界・会社規模・評価など様々な角度から見る必要があります。本記事の内容を参考に、ご自身の状況を客観的に捉えてみてください。そして将来に向けて、スキルアップやキャリアプランを練り、ぜひ納得のいくボーナスを手にできるようチャレンジしていきましょう。ボーナスは働くモチベーションにも繋がる大事な要素です。計画的に活用しつつ、日々の仕事の励みにしていってくださいね。