最近、「未経験だけどITエンジニアに転職したい」という声をよく聞きます。特に、全く違う業界からの転職を考えている人が増えています。
でも、ちょっと待ってください。憧れだけで飛び込むと、「こんなはずじゃなかった……」と後悔することもあります。
そこで今回のコラムでは、未経験からITエンジニアを目指す人が知っておきたい、リアルな現実をわかりやすくお伝えします。
未経験からエンジニアに転職した際に直面する課題7つ
課題1:SES(客先常駐)の会社がとても多い
「未経験OK」と書かれている求人の中には、SES(エス・イー・エス)と呼ばれる働き方をしている会社が多くあります。これは、自分が所属する会社ではなく、別の会社に行って仕事をするスタイルのことです。
たとえば、「A社に入社したけど、実際にはB社に行って働く」というような感じです。しかも、プロジェクトが終われば別の会社に行くことになるので、職場がコロコロ変わることもあります。
この働き方には良い面もありますが、人によっては「チームに馴染めない」「移動が多くて疲れる」と感じることもあるため、自分がどんな働き方をしたいのかを事前にしっかり考えておかないと転職してから後悔することがあります。
課題2:いきなりコードを書かせてもらえるとは限らない
エンジニアになると、すぐにプログラミングができると思っていませんか?実は、最初の仕事はコードを書くことじゃない場合がほとんどです。
未経験の場合、まずは「この人は基本的なことがわかっているか」「きちんと報告・連絡・相談ができるか」といった社会人としての姿勢や基礎力が見られます。そのため、最初はエクセルで資料をまとめたり、先輩が書いたプログラムをテストしたりといった、サポート的な仕事が中心になります。
焦らず、地道な仕事から信頼を得ることが、次のステップにつながります。
課題3:人手不足の現場ではブラックな働き方になることも
エンジニアは今、どの分野でも人手不足です。だからこそ、「未経験でもチャンスがある」とも言えますが、それは裏を返せば、人が足りない職場に突然入ることになるという意味でもあります。
こうした現場では、一人でたくさんの仕事を抱え込んでしまったり、夜遅くまで残業しなければならないこともあります。いわゆる「ブラック企業」と呼ばれるような職場に当たってしまうことも、残念ながらゼロではありません。
転職活動では、「働きやすい環境かどうか」「ちゃんと休める職場かどうか」をよく調べなければ後悔に繋がります。
課題4:ポートフォリオがないと評価されにくい
ポートフォリオとは、自分が作ったものをまとめた作品集のようなものです。未経験者でも、「この人は本当に勉強しているな」「自分でここまで作れるんだ」と伝えることができれば、評価されやすくなります。
たとえば、自分で簡単なWebページを作って、それをネット上に公開しておくだけでも大きなアピールになります。やる気や能力を言葉で伝えるより、実際に見せる方が効果的なんですね。
「まだ作れるものなんてない…」という人も、まずは一つ小さなものを作ってみることから始めてみましょう。
課題5:ある程度の専門知識が前提になることもある
「未経験歓迎」と書いてあっても、実際の現場では専門的な言葉や仕組みが当たり前のように飛び交います。たとえば、「HTML」「CSS」「サーバー」「API」などの言葉を聞いて、「それ何?」となってしまうと、正直ついていくのが大変です。
ですから、未経験であっても、事前に自分である程度勉強しておくことが必須です。
プログラミングの基礎や、インターネットの仕組みなど、最初に知っておくと良い情報はたくさんあります。
逆に言えば、ちゃんと学んでおけば、面接でも自信を持って話すことができますし、現場でもスムーズに仕事が始められます。
課題6:若手を中心に採用している企業が多い
企業が「未経験でもOK」と言っていても、実際には20代前半〜30歳前後の人をメインに採用しているケースが多いです。これは、若い人のほうが育成に時間をかけられる、という企業側の考えがあるからです。
もちろん、年齢が高い人でもチャンスはあります。ただしその場合は、「なぜ今エンジニアになりたいのか?」「どんな準備をしてきたのか?」をきちんと説明することが重要です。
年齢がハンデにならないように、自分の経験や意欲をうまく伝えられなければ後悔する結果になるかもしれません。
課題7:思っていたよりも地道な仕事が多い
ITエンジニアというと、「かっこよくコードを書いている」「自由にリモートワークしている」……そんなイメージを持つ人も多いと思います。
でも実際の仕事は、とても細かくて地道な作業の連続です。
エラーが出たら、一つひとつ原因を探し、何時間もかけて修正します。テストでは、同じ操作を何十回も繰り返すこともあります。コードの書き方も、ただ動けばいいのではなく、見やすさやルールにも気を使わなければなりません。
つまり、根気よく丁寧な作業ができる人が向いている職種とも言えます。派手な仕事ではなくても、「地味だけど大事な仕事をコツコツやるのが好き」という人にはぴったりです。
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未経験からでも挑戦しやすいエンジニア職って?
エンジニアとひとことで言っても、実はさまざまな種類の仕事があります。
ここでは、未経験でも比較的入りやすく、スタートしやすい6つの職種について、わかりやすく紹介していきます。
① プログラマー
プログラマーは、決められた仕様(しよう)=設計書にそって、コードを書く人です。
たとえば、「こういう画面を作ってほしい」「ボタンを押したら、こう動いてほしい」といった要望が書かれた設計書を見て、そのとおりにプログラムを書いていきます。
未経験でも、基礎的なプログラミングの知識があれば始めやすい職種です。最初は小さな機能の実装や、先輩のコードの修正などから始まることが多いです。
向いている人:細かい作業が好きな人、コツコツと一つのことに集中できる人
② Webエンジニア
Webエンジニアは、WebサイトやWebアプリを作るエンジニアです。
HTMLやCSS、JavaScriptといったWeb系の技術を使って、「見える部分(フロントエンド)」を作ることが多いですが、サーバー側の処理(バックエンド)も扱うことがあります。
最近では、ポートフォリオとして自分でWebサイトを作る人も多く、学びながら実践できる点が、未経験者にとって魅力的です。
向いている人:デザインが好きな人、自分で何かを作ってみたい人、成果物を目に見える形で残したい人
③ サーバーエンジニア
サーバーエンジニアは、Webサイトやアプリがスムーズに動くように、裏側の仕組みを整える仕事です。
「サーバー」というのは、データを保存したり、Webサイトを表示させたりするためのコンピューターのこと。たとえば、「アクセスが集中してサイトが落ちた」なんてときに、対応するのがこの職種です。
最初は、先輩のサポート役として、サーバーの設定作業や保守・監視からスタートすることが多いため、未経験者にも入りやすい環境です。
向いている人:トラブルに落ち着いて対応できる人、裏方の仕事が得意な人
④ ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、インターネットや社内のシステムがきちんとつながるようにする専門職です。
たとえば、会社で「インターネットがつながらない」「プリンターが動かない」なんてときに、裏側で設定や配線を整えているのがこの人たち。Wi-FiやLAN、ルーターなど、通信に関する機器を扱います。
資格(例:CCNA)を取得しておくと、採用に有利になる場合も多く、未経験でも資格を活かしてスタートできる仕事です。
向いている人:機械いじりが好きな人、手順通りに丁寧に作業できる人
⑤ テストエンジニア
テストエンジニアは、プログラマーが作ったシステムやアプリが、きちんと動くかを確認する人です。
たとえば、「ボタンを押したらちゃんと画面が切り替わるか」「入力した情報が正しく保存されるか」など、実際にユーザーの視点で使ってみて、バグ(不具合)を見つける仕事をします。
決められた手順にそって確認する作業が多いため、未経験でも始めやすく、プログラミングに入る前のステップとして人気があります。
向いている人:細かいことに気がつく人、ミスを見つけるのが得意な人
⑥ フィールドエンジニア
フィールドエンジニアは、お客様のところに出向いて、機器の設置や修理、トラブル対応などをする仕事です。
たとえば、企業のパソコンやネットワーク機器が故障したときに駆けつけて、設定や交換を行ったりします。ITの知識に加えて、人と接する力も求められる職種です。
「エンジニア=ずっとパソコンに向かっている」というイメージとは少し違い、外出が多く、体を動かすこともあるので、アクティブな人には向いています。
向いている人:人と話すのが好きな人、外に出て働きたい人、機械に詳しくなりたい人
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実は未経験からだと難しい職種もある
ITエンジニアの中には、専門的な知識や高度なスキルが求められるため、未経験からすぐには目指しにくい職種もあります。ここでは代表的な2つの職種を取り上げて、なぜ難しいのかを説明します。
AIエンジニア
AIエンジニアとは、人工知能(AI)を使ってシステムを作る専門職です。
たとえば、画像を見て「猫か犬か」を判断するプログラムや、人間の話し言葉を理解して答えるシステムなどを開発します。
この仕事では、ただプログラミングができるだけではなく、数学、統計学、機械学習、データ分析といった大学レベルの知識が必要になります。Pythonという言語を使うことが多いですが、そもそも何をどうやって学ばせるか(学習モデル)を設計する部分が非常に重要です。
さらに、AIの技術は日々進化しているため、常に新しい知識を学び続ける姿勢が求められます。未経験からいきなりこの分野に飛び込むのは、正直ハードルが高めです。
でも、まったく無理というわけではありません。まずはデータ分析やプログラミングの基礎から始めて、ステップを踏んで少しずつ近づいていくことは十分可能です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、ハッキングやウイルスからシステムを守るための専門家です。
たとえば、大手企業のサーバーが攻撃されたときに、被害を最小限に抑える仕組みを作ったり、不正アクセスを防ぐためのルールを決めたりします。
この仕事には、ネットワーク、OS、プログラム、クラウドなど幅広い知識が求められます。つまり、「ITのあらゆる基礎を理解している」ことが前提となるんですね。
また、セキュリティ事故が起きたときの対応は一刻を争うため、判断力・責任感・冷静さも必要です。未経験の人がいきなりセキュリティの中心を任されることはまずありません。
現実的には、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアとして経験を積んでから、セキュリティ分野にステップアップするケースが多いです。
その他の未経験からでは難しいエンジニアの職種
・ITアーキテクト:システム全体の設計を担当する超上級ポジション。幅広い技術知識と実務経験が必須です。
・クラウドエンジニア(AWSやAzure):最近人気ですが、クラウドの仕組みを理解するために、サーバーやネットワークの知識が必要です。
・データサイエンティスト:大量のデータを分析してビジネスに活かす仕事。こちらも統計学やプログラミング、ビジネスセンスなど、複数のスキルを同時に使います。
どうすれば目指せるの?
未経験でも、これらの専門職にいきなり就くことは難しくても、ステップを踏めば可能です。おすすめの順番としては、
②業務の中で、少しずつ興味ある分野のスキルを学ぶ(例:Python、Linux、AWS)
③資格やポートフォリオを作って、転職や社内異動のチャンスを狙う
という流れが現実的で成功しやすい道です。
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未経験者でも後悔しないための企業の選び方
「エンジニアになりたい!」と思って求人を見てみると、たくさんの会社が出てきますよね。でも、選ぶコツを知らなければ後悔してしまうかもしれません。そんなときに注目してほしいのが、会社の“中身”と“育てる力”です。
ここでは、未経験からでも後悔せずに成長できる企業を見つけるためのポイントを、3つの視点から解説します。
後悔しないためのコツ①:企業の規模を見る
まずは、会社の「大きさ」に注目してみましょう。大企業や中堅企業は、研修制度やサポート体制がしっかりしていることが多いです。
たとえば、
・専任の教育担当がついてくれる
・チームで動くので、わからないことをすぐ相談できる
など、未経験者がつまずきにくい仕組みが整っている可能性が高いです。
もちろん、小さい会社でも人を大切に育ててくれるところはありますが、情報が少ない分、見極めが難しいことも。初めての転職では、ある程度の規模感がある会社を選ぶほうが後悔はしないでしょう。
後悔しないためのコツ②:福利厚生をチェックする
働きやすさは、会社選びで見落としがちな大事なポイントです。とくに未経験のうちは、新しいことを覚えるのにエネルギーがかかるので、無理なく働ける環境がとても大切です。
たとえば、次のような制度があるかをチェックしましょう。
・年間休日が多いか(120日以上が目安)
・有給休暇が取りやすいか
・在宅勤務(リモートワーク)の制度があるか
・産休・育休などの制度があるか
これらが整っている会社は、社員を大切にしている証拠です。仕事だけでなく、自分の時間や健康も大切にできる職場を選びましょう。
後悔しないためのコツ③:教育制度があるかどうか
「未経験歓迎」と書いてあっても、実際には放置されてしまうような職場も存在します。だからこそ、「教育制度がしっかりしているか」を確認することがとても重要です。
たとえば、
・先輩がついて教えてくれるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)があるか
・社内勉強会や技術共有の場があるか
・資格取得の支援制度があるか
といった点を、求人情報や面接のときに聞いてみると良いでしょう。
特に、未経験からエンジニアになるには、最初の数ヶ月のサポートがカギになります。この時期にしっかり教えてもらえる環境かどうかで、その後の成長スピードが大きく変わってきます。
さらに後悔しないためのワンポイント
企業選びに迷ったら、口コミサイトや転職エージェントを活用するのもおすすめです。実際に働いた人の声が見られるので、「面接では良く見えたけど、実は…」というギャップを防げます。
また、できれば一次請け(直接仕事を受ける会社)かどうかにも注目しましょう。下請けが多い会社は、常に人手が足りず、教育に手が回らないこともあります。
未経験者でエンジニアを目指すための学び方
未経験からエンジニアを目指す場合、学習は“始める前”からすでに勝負が始まっています。
どんな職種を選ぶとしても、ある程度の知識やスキルがなければ、採用の土俵にも立てないことも少なくありません。
では、どうやって勉強すればいいのでしょうか?
学び方には大きく分けて「独学」と「スクール」の2つがあります。それぞれのメリット・デメリットも含めて見ていきましょう。
【勉強方法①】独学⇒自分のペースでコツコツ進めたい人向け
独学は、お金をあまりかけずに学べる方法です。
今では、エンジニア向けのインターネット上に無料や安価な学習コンテンツがたくさんあります。
たとえば、
・Progate(プロゲート):初心者向けのオンライン学習サービス。ゲーム感覚で楽しく学べます。
・ドットインストール:3分の短い動画で学べる日本語の学習サイト。
・公式ドキュメントやQiita(キータ):実際のコード例や現場の知見がまとまっているサイト。
このように、自分のペースで好きなときに学べるのが独学の魅力です。特に、「ちょっと試してみたい」「まだ本気かどうか決まっていない」という段階では、独学から始めるのがちょうどいいかもしれません。
ただし、独学にはこんな弱点もあります。
・何をどこまでやればいいか、自分で決めなければいけない
・モチベーションが続かないことがある
特に「質問できる人がいない」というのは、初心者にとっては大きな壁になることがあります。
【勉強方法②】プログラミングスクール⇒効率よく学びたい人向け
「ちゃんと就職につなげたい」「短期間で実力をつけたい」という人におすすめなのが、プログラミングスクールです。
スクールでは、
・わからないことをすぐに質問できる
・実践的な課題に取り組める
・ポートフォリオの作成までサポートしてもらえる
・転職支援がついているスクールも多い
というように、学習から就職までを一貫して支援してくれるのが大きなメリットです。
スクールの受講料は、安いところで10万円台から、高いところでは50万円以上と、決して安くはありません。
でも、「時間を買う」と考えれば、効率的な選択とも言えます。
特に、次のような人にはスクールが向いています。
・短期間で就職を目指している人
・学ぶだけでなく「確実にエンジニアとして働きたい」と考えている人
無料カウンセリングをしてくれるスクールも多いので、「まずは話を聞いてみる」ことから始めてもいいですね。
まずは小さな成功体験を積み重ねよう
どんな学び方を選ぶにしても、一番大切なのは「続けること」です。
最初のうちは、わからないことが多くて不安になったり、自分に向いていない気がしてしまうかもしれません。でも、誰でも最初は初心者。
「ボタンを押したら文字が出た」「簡単なWebページを作れた」
そんな小さな成功体験を積み重ねることで、自然と自信がついてきます。
「今日はこれだけできた」「昨日より少し理解できた」
そうやって、毎日少しずつ前に進めば大丈夫です。
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未経験でもエンジニアになりたいあなたへ
ここまで読んでくださったあなたは、未経験だけど、きっと「エンジニアになりたい」という気持ちを本気で持っている方だと思います。
ただ、今回お伝えしてきたとおり、未経験からエンジニアになる道は、決して楽な道ではありません。
求人情報の「未経験歓迎」には、実際には努力や準備が必要なことも多く含まれています。
でもだからこそ、しっかり現実を知った上で行動を起こすことが、後悔しない第一歩になります。
・楽しそうだから、だけで飛び込まない
・自分がどうなりたいのかを考える
・小さな一歩でも、とにかく始めてみる
エンジニアの世界は、「できること」が増えるたびに楽しくなっていきます。そして、それを一生の仕事にすることも、夢ではありません。
未経験ということは、「これから何でも吸収できる可能性がある」ということでもあります。
コツコツ努力できる人、学ぶことを楽しめる人には、必ずチャンスがあります。
あなたのこれからの挑戦が、すてきなキャリアのスタートになりますように。応援しています!
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