「求められていることに応える」を大切にしたキャリアの軌跡

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具体的な不満があるわけでなくとも、将来を考えたときにふと「このまま今の会社に居ていいのかな…」と不安に感じることはだれしもあるはず。

そんなとき、みなさんは誰に相談しますか?

しゃべりおでは、キャリアのプロである国家資格キャリアコンサルタントに、自分の不安や悩みがどのように解決していけるのか、オンライン上で無料相談ができます。

今回はキャリアコンサルタントの吉良和真さんに、彼のキャリアの軌跡と仕事への想いについて伺いました。

人の根幹づくりに関わる仕事へ──キャリアの出発点

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ーーまず、吉良さんがどのようなキャリアを歩んでこられたか教えてください。

吉良和真さん:私は大学卒業後、保育士として5年勤務した後、大手人材広告会社で求職者の転職支援・企業の採用支援の経験を積みました。
キャリアコンサルタントの資格を取得し、現在は独立して活動しています。

 

ーー最初のキャリアは教育だったんですね。中でも保育士を選んだのはなぜでしょうか?

吉良和真さん: 私の家庭は教育関係者が多く、父が大学教員だったこともあり、自然と教育の道を考えていました。

小学校や中学校の教員などいろいろな選択肢を考えましたが、自分が関わった先から未来の領域が一番大きく、人の根幹となる所に関わる仕事がしたいという想いから保育士・幼稚園教諭の道を選びました。

幼稚園よりも保育園の方が男親との関わりが少ない子どもたちが多いのではと感じる場面が多くあったんです。当時は男性保育士が少なかったので、男性保育士としての存在が求められていると感じました。

一方で、当時の保育園は、男性が長期的にキャリアを築いていくことができる職場とは認知されていませんでした。

 

ーー保育士として働く中で、どのようなことを感じましたか?

吉良和真さん: 保育士の仕事は楽しかったです。子どもたちの成長を間近で見られるのは大きなやりがいでした。

同時に年功序列のシステムの中で、どれだけ努力してもその成果が報酬に反映されないことにフラストレーションを感じました。

「自分の実力をもっと評価されたい」と強く感じるようになりました。それで、保育士の経験を生かしつつ、もっと実力主義の世界に挑戦しようと人材紹介の営業職に転職することを決めました。

 

新たな挑戦で得た学びと限界

ーー人材紹介の営業職ではどのような経験をされましたか?

吉良和真さん:転職を希望する保育士の方々を新たな保育園に斡旋する業務をしていました。キャリアアドバイザー(転職相談)とリクルートアドバイザー(採用支援)、両方を担当していました。

事業の立ち上げからだったので本当に大変でしたね。ゼロからのスタートで顧客リストもない状態でした。毎日リストを作成し、電話営業を繰り返す日々でしたが、少しずつ成果が出てくると、やりがいを感じるようになりました。

 

ーー 大手人材紹介会社では10年働かれたそうですね。その長い期間でどのようなことを得られたのでしょうか?

吉良和真さん:今の自分の根幹となるものを得られました。
保育士としての経験を活かして人材紹介の業界に飛び込みましたが、そこで得た一番大きな学びは”ビジネス感覚”と”市場の変化に柔軟に対応する力”です。

特に東京や大阪での立ち上げや、公共事業にも関わることができたことで、売上を上げるためにどんな手法が有効か、利益計算や原価計算の重要性を実際に学びました。企業のニーズと社会的なニーズをどう結びつけていくかを学べたことも貴重な経験でした。

その経験が、後に独立するための基盤となったと思います。

 

ーーお話しを伺っていて、吉良さんは仕事に対して「求められているものは何か」という価値観を大切にされていると感じました。

吉良和真さん:そうですね。私にとっては、ただやりたいことを主張するだけでは意味がないという感覚があります。
求められていることが重要で、市場のニーズに合った形で提供できるものがないと成立しません。

その中でも、やりたいことと市場が求めているものが一致している部分を見つけることが大切だと思っています。

 

だれかの自己実現に携わる仕事へ

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ーー大手人材紹介会社で経験を積んでこられた吉良さんですが、なぜキャリアコンサルタントの資格を取得しようと考えたのでしょうか?

吉良和真さん:営業職で成果を上げる傍らで、「もっと個人に寄り添った支援ができるのではないか」と考えるようになりました。
というのも、企業のニーズを優先するあまり、求職者一人ひとりが本当に求めているキャリアや人生の目標に向き合えていないと感じることが増えてきたんです。

そんな風に悩んでいるときに、先輩のアドバイスを受けてキャリアコンサルタントの資格を取ることにしました。

 

ーー人材事業を追求していくのではなく個人の課題解決を考える、という視点の切り替えがあったんですね。

吉良和真さん:そうですね。キャリアコンサルタントの資格について学んでいく中でも、想像していたものと全然違うなと感じることがあったんです。
今まで経験してきたキャリアアドバイザーのようなものだと思っていたんですけれど、キャリアコンサルタントはよりその⼈の⾃⼰実現に携わるというもので。

これは⼈材紹介では全然できていないことだと感じました。
むしろ本当に⼤事なのはこっちの⽅なんじゃないかって感じて、独立してやっていくことを決めました。

 

持続可能なキャリア支援を目指して

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ーー現在のキャリア支援ではどんなことを大切にされていますか?

吉良和真さん:転職をゴールとするのではなく、その人が本当に実現したいことを一緒に見つけていくことを重視しています。

また、キャリア支援を瞬間的なサポートとして行うのではなく、持続可能な形にしていきたいと考えています。

継続的に価値を提供するためには、適切な対価をいただくことも大切です。支援する側も、経済的に成り立つビジネスモデルを確立しなければ、求職者に対して安定したサービスを提供し続けることはできません。

その人のキャリアを本気で考え、納得のいく転職ができるようにサポートする。そのプロセスで得た結果をしっかりと評価し、双方が納得できる形で価値を提供することで、持続可能な支援ができると信じています。

 

ーーこれまでキャリアコンサルタントのお仕事をされてきて、この仕事の役割やあるべき姿についてどう感じていますか?

吉良和真さん:自分のキャリアをしっかりと持てる人を増やせるようにしていきたいです。
そのために一人ひとりが納得のいくキャリアを築けるような仕組みを作ることが重要だと考えています。

日本では、キャリアについて深く考える機会が少なく、「とりあえず就職する」という流れが一般的になっていると感じます。その結果、ミスマッチが起こり、転職を繰り返してしまう人も少なくありません。本来であれば、もっと早い段階で自身のキャリアについて考える機会が必要なのではないかと思っています。

だからこそ、キャリア支援をもっと身近なものにし、誰もが当たり前のように相談できる環境を作りたい。キャリアについて悩んだときに、気軽に専門家に相談できる社会を実現することが、キャリアコンサルタントの大切な役割だと考えています。

 

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吉良さんのキャリアの軌跡には、「求められていることに応える」という一貫した軸がありました。自分のやりたいことを突き詰めるだけではなく、社会や市場のニーズと自分のスキルを掛け合わせていくことが、持続可能なキャリアの鍵なのかもしれません。

キャリアに迷った時、「今の自分が求められている場所はどこか?」を考えてみると、新たな道が見えてくるかもしれません。

 

吉良 和真さん
きら かずま|キャリアコンサルタント、フリーランス


大学卒業後、教育事業に5年間従事。大手人材広告会社に転職し、10年間で1,000人以上の求職者の相談や200社以上の採用支援を担当。マネージャーとしてマネジメントや採用選考官も務める。現在は独立し、大手IT企業を中心に外部人事として採用面接や説明会を代行。また、大学生や社会人向けにキャリアコンサルティングを実施している。
所有資格:国家資格キャリアコンサルタント

 

   
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