EQという言葉を知っていますか??
仕事や人間関係に影響を与えるものとして、注目されてきたEQ(Emotional Intelligence Quotient)とは「心の知能指数」とも言われており、「自分の感情や周囲の人の感情をうまく管理し、利用するスキル」とされています。
2020年に行われた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)のレポートでは「2025年に必要なスキルトップ15」のうち、11位にEQがランクインするなど今必要なビジネススキルとして注目を集めています。また、日本でも1500社を超える企業で、メンタルヘルス対策や人材育成などの側面でEQ能力を重要視する考えが浸透。
では、EQとはどんな能力なのでしょうか。EQの重要性や身につけ方などを紹介していきます。
EQとは
EQとは「心の知能指数」とも呼ばれ、1990年にアメリカの心理学者のピーター・サロベイとジョン・メイヤーが1990年に提唱した理論です。
「IQが高い人材でもビジネスで成功しない人」に対して疑問を持ち始め、研究を深めたところビジネスで成功した人の多くは「対人能力に優れている」ということがわかりました。
自分の感情をうまく理解しコントロールすることで、ポジティブな気持ちを生み出すことができる能力として紹介されたEQは、身につけることで困難な状況でも前向きな感情を作り出し、組織の中で適切な行動を取れるようになります。
EQがなぜ今必要とされているのか
AI時代と言われる昨今は、さまざまな出来事を多角的に観察し、柔軟に対応できる人材が求められています。そのため、頭の回転の速さや知能が求められてきた時代から、感性や相手の気持ちを理解できる能力が求められる時代に変わりつつあるからこそ、社会全体としてもEQが高い人材を求める傾向が強まっています。
2001年にエール大学のパルマー教授が発表した、EQの高い組織と低い組織の業績を比較した研究によると、EQが高い組織は、問題に対する悩みや課題をしっかりと話し合い、目標達成に向けてお互いの意見を擦り合わせながら議論する傾向があったと発表しました。つまり、課題の達成に向けてお互いの意見を擦り合わせられる環境があることで、心理的安全性に繋がり、仕事の生産性が向上する結果につながったと考えられます。
そのため、EQを高めることができれば、転職や就職で有利に働いていくことは間違いないでしょう。
AIが各所で活用され始めている近年、AIには代替できない人間らしい情緒的スキル、つまりはEQが必要とされているのは必然的な流れなのです。
EQとIQの違い
EQとよく勘違いされやすいのはIQです。
EQは「心の知能指数」と呼ばれるのに対し、IQ(Intelligence Quotient)は「感情知性」と呼ばれています。IQは、知能指数を数字で表したものですが。EQは感情をどううまく扱えるのかという能力なので、数値などでは計測できないスキルです。
また、IQは先天的な要素がほとんどなのに対し、EQはトレーニングなどで後天的に鍛えることができます。
EQとはどんな能力なのか
では、EQはどんな能力で構成されているのでしょうか。
EQは主に4つの能力で構成されていれています。
感情の利用【Use】
感情の理解【Understand】
感情の調整【Manage】
EQを構成する4つの能力①:感情の識別【Identify】
自分や相手がどんな感情をしているかを認識し、判断する能力です。
他者がどんな感情をしているかがわかるようになれば、自分に対して他者がどのような感情を持っているのかがわかるようになります。また、相手の感情を理解しようとすることで、相手に対して共感を生み出すことができます。
EQを構成する4つの能力②:感情の利用【Use】
感情の利用とは、感情を作り出す能力のことです。人の感情は、行動や思考を左右します。継続的に仕事で結果を出そうと思う場合は、悲しい感情や怒りの感情のような強い感情を抑えて、別の感情を自分で作り出すことも大切です。感情をコントロールできるようになれば、自分のパフォーマンスを安定させることにも繋がります。
EQを構成する4つの能力③:感情の理解【Understand】
感情がどのようにして湧き起こったのかを考えることが感情の理解です。自分や他者の感情を判断し、その感情の原因や変化を考えることが大切です。
しかし、他者の感情を完璧にコントロールすることはできません。しかし、相手が「なぜ怒ったのか」「なぜ仕事に対してのやる気がないのか」などを分析し、相手がどういう人間なのかを考えることで、相手を思いやり理解することにも繋がります。
EQを構成する4つの能力④:感情の調整【Manage】
感情をコントロールし、自分の行動や発言へと繋げていくことが感情の調整です。
そのためには、自分の感情を他者に正しく伝えるための感情表現力も必要になってきます。その場に合わせた適切な行動や発言をするために、自分の周りの雰囲気や、環境を理解しながら感情を調節することが大切です。
EQを鍛えるための方法とは
先ほども紹介しましたが、EQは個人差こそありますが、トレーニングを行うことでEQを鍛えることが可能です。EQを高めるためには、まず自分自身のEQを知ることが大切です。その上で、自分の課題を自覚し、改善するために必要なことを実行していきましょう。
では、どのようなことをすればEQを高めることができるのでしょうか。
早速見ていきましょう。
相手の話や気持ちに寄り添って考える
思考を言語化する習慣をもつ
EQを鍛えるための方法①:人のことを観察する癖をつける
周囲の人を観察して、相手のことを理解するように努力しましょう。
相手のことを理解するには、相手の感情を想像し、相手の気持ちに対して寄り添うことが大切です。相手のことを深く観察できているとなにかトラブルが起こったとしても、相手の気持ちを考えることができるので、感情を落ち着かせることができます。
EQを鍛えるための方法②:相手の話や気持ちに寄り添って考える
相手とのコミュニケーションには、相手の感情や気持ちを理解できる情報が多くあります。
そのためには、相手の気持ちや考え方、感情を判断したり、相手の良いところを見つけるように相手のことをよく観察することが大切です。相手を観察するときは、相手の言葉やトーンや表情に気を配ります。また、相手の話を遮らずに最後まで聞くことも、相手を知る上では大切です。
EQを鍛えるための方法③:思考を言語化する習慣をもつ
感情は目に見えないものです。
そのため、自分の感情を常に自分の中で理解しておく必要があります。自分の感情を理解するには、自分の感情を言葉にする必要があります。そうすることで、自分の感情を客観的に理解することができます。また、言葉にして残しておくメリットは、後で振り返ることができたり、自分の感情を深掘りすることができます。
EQが高い人の共通点とは
EQが高い人の共通点としてあげられるのは、自分だけでなく相手の感情を理解する能力に長けているので、トラブルが起こった際に動じることなく、冷静に対処できるという特徴があります。また、人間関係を良好に保つことができ、良い印象を持たれていることが多いです。
では、他にEQが高い人の特徴を紹介していきます。
柔軟な考えができる
人の話をしっかりと聞ける
EQが高い人の特徴①:ストレスに強い
自分の感情をしっかりとコントロールできるので、ストレスを感じた時にも柔軟に対応することができます。
また、理不尽なことが起こったとしても、自分の感情を適切に処理することができるので、冷静に対処することができます。
EQが高い人の特徴②:柔軟な考えができる
少しのことでは動じずに、さまざまな価値観を受け入れることができる柔軟性があります。
また、状況が変わっても場面に合わせた対応ができる特徴があります。トラブルやミスが起こったとしても、感情部振り回されることなく柔軟に対応できる問題解決力も高いです。
EQが高い人の特徴③:人の話をしっかりと聞ける
相手の話をしっかりと聞ける人は、相手の感情を理解することが上手な人が多いです。
また、コミュニケーション能力も高く、最後まで相手の話を聞いてくれるので、周りから頼られたり、相談されたりすることも多いでしょう。周りを見ることができ、気配りもでき、共感力も高いので、周りに人が絶えないということもあるでしょう。
まとめ
近年、注目されているEQを高めることで、自分や相手の感情を理解し、共感を生みやすくなるのでチームや組織に良い影響を与えます。また、EQは後天的なトレーニングにで鍛えることができます。
実際に、自分のEQが高いのか低いのか知りたい場合は、EQ診断などもあるので受けてみましょう。