アンガーマネジメントという言葉を知っていますか?
anger(怒り)+management(管理)
という言葉を組み合わせたもので、
「自分の中に生まれた怒りを、管理・コントロールすること」です。
歴史としては、罪を犯した人を更生させるために使われたプログラムが、時代の経過に連れて企業の研修カリキュラムとして組み込まれていくようになったことがアンガーマネジメントが広くひろがったきっかけと言われています。
自分の怒りをコントロールすることは、大人として、社会人として最低限のビジネススキルであるという風潮も高まってきました。では、気になるアンガーマネジメントのやり方を紹介していきます。
「怒り」をコントロールする
「怒り」はときに周囲を萎縮させ、不快感を与えてしまうための悪い感情として捉えている人もいるかもしれません。
たしかに、「怒り」はマイナスの感情ではありますが、喜怒哀楽に含まれる人間の根本的な大切な感情の一つです。
そのため、「怒り」という感情が一概に悪だと決めつけることはできません。
また、ときに「怒り」は社会を変えてしまうほどのエネルギーをもっています。
革命、一揆、ストライキなど何かを変えてしまうほどのエネルギーを人間の中から生み出すのは怒りの感情ということがわかります。
また、悔しいと感じた人がその出来事をバネにして、成功に繋げていくこともあります。
怒りという感情をコントロールするやり方を身につければ、大きな原動力になることもあります。
「怒り」の感情について
怒りの感情は第二次感情であり、根本の感情を辿れば他の感情に行き着きます。
それは、不安や恐怖、恥ずかしい、寂しい、疲れた、悲しい、虚しい、痛い、つらいなどの一次感情感情から怒りに発展していくからです。
大好きな恋人に浮気された。この時に怒りの感情が湧いてくるのは当然かもしれません。この時の怒りの感情を掘り下げていくと、恋人に裏切られた「悲しい」、「つらい」という感情。別れてしまうという「不安」などの感情から「怒り」に繋がっていきます。
このように「怒り」の感情の中には、他の感情があります。
アンガーマネジメントでは、この怒りの感情の中にある根本的な感情に目を向けることが大切です。
アンガーマネジメントに需要がある理由
では、もともとは犯罪者を更生するためだったプログラムは、なぜ会社内の研修プログラムにまで組み込まれるまでの市民権を持ったのでしょうか。
アンガーマネジメントに需要がある理由について説明します。
・部下からの印象をよくできる
・社員の精神的な病気を防げる
・社員が働きやすくなる
・時間を有効活用することにつながる
物事を冷静に判断できるようになる
自分自身の怒りの感情をコントロールするやり方を身につければ、仕事などでついカッとなった時でも、怒りに身を任せるのではなく、理性が働くようになるので冷静な状況で物事を判断するのが楽になります。
結果的に、感情に任せて判断を誤ったり選択ミスを犯して不利益を被ったりする機会が減ります。仕事をしている中で、冷静な判断での選択を求められる機会もあるので、アンガーマネジメントは大切です。
部下からの印象をよくできる
怒りっぽい方や感情の起伏が激しい人は部下から悪い印象をもたれやすい傾向にあります。
しかし、アンガーマネジメントのやり方を知れば、部下に怒りをぶつけることが減り、良い印象を持たれる機会が増えます。アンガーマネジメントを学べば、部下が上司のことを慕ったり、良好な人間関係を築きやすくなったりするため、上下関係の悩みも減少することに繋がります。
今は上司からのハラスメントが問題視されている時代でもあるので、社内からハラスメントをなくすためにも、アンガーマネジメントを伝えるのは非常に需要のあることです。
社員の精神的な病気を防げる
自分の怒りや感情をうまくコントロールできないと、ストレスが溜まったり胃潰瘍やメンタル系の疾患などの病気のリスクが上がります。
ですが、アンガーマネジメントのやり方を知っておけば、ストレスの吐き出し方を自分の中で身につけられるため、精神面からくる病気などを未然に防ぐことができます。
結果的に、体調が悪くなって欠席する社員も減少するため、人事不足のリスクを抑えるのにも効果的です。
社員が働きやすくなる
怒りの感情を全面的に出す社員が多いと、感情での衝突が多くなり職場の雰囲気がギスギスして居心地が悪くなってしまうこともあります。最悪の場合、退職者の増加にもつながることもあります。
しかし、アンガーマネジメントのやり方を身につけた社員が増えれば、怒りの気持ちを全面に出す社員が減少し、結果的に職場の居心地もよくなり働きやすい環境が整えられます。
社員に長年働いてもらうためには、長い目で見てもアンガーマネジメントを取り入れる重要性はあります。
時間を有効活用することにつながる
怒りに身を任せて行動することが減れば、無駄な行動をすることも少なくなります。
その結果、時間を有効的に使えることにも繋がります。
時間の有効活用ができるようになると、作業時間を短くしたり、業務時間の隙間を効果的に使うことができるようになるので社内の業務改革を進めやすくなります。
アンガーマネジメントのやり方
アンガーマネジメントの必要性はわかりましたが、実際に人間は怒りの感情をコントロールできるのでしょうか。
アンガーマネジメントのやり方を紹介します。
・怒りの感情が生まれたら6秒間待つ
・決まった考えに固執しない
・相手の立場になって物事を考えてみる
・考えることをやめる
・イライラせずに話せる方法を身につける
・自分でコントロールできることを知る
・怒りを点数化して記入する
やり方① 怒りの感情が生まれたら6秒間やり過ごす
これは聞いたことがある人もいるかも知れません。アンガーマネジメントとして一番有名な方法です。
まず自分が怒りを感じた時に6秒間数えます。すると怒りの感情が消えていくというすごく簡単な方法です。
しかし、中には6秒数えても怒りの感情がおさまらない人もいます。
そんな人におすすめな方法も紹介します。
怒りの要因になっているものから離れてみる
怒りの原因になるものから物理的に6秒間距離をとってみましょう。
例えば、目の前に怒りの要因となっている人がいる場合は、一度部屋から出たり、外の空気を吸ってみたりしてみましょう。視界に怒りの対象物を入れないだけでも大きな効果があります。
仮に、その場から離れられない場合は、6秒間視線をそらしてみたり、目を瞑ったりしてみましょう。
別のことを考える
怒りの要因となっていることと全く別のことを考えてみましょう。
別のことを考えることで、怒りという感情から避けることができます。できれば、自分にあったいいことや、ポジティブなことを思い返すのが効果的です。
ネガティブな内容を思い出すと、さらに怒る場合や悲しみの感情にシフトする可能性があるので控えましょう。
何かに没頭する
6秒間何かに没頭するということで怒りの感情から離れる方法もあります。
身の回りを掃除してみたり、ゲームや読書などをしてみてもいいでしょう。他のことを考える余地を与えないくらい没頭できるものを探しましょう。
やり方②決まった考えに固執しない
アンガーマネジメントにおいて自分の凝り固まった考えを捨てることは非常に重要です。
まず、自分が正しいと思うことはやめましょう。自分の価値観に沿った生活スタイルになってしまいます。アンガーマネジメントにおいて重要なのは、他者の考えや意見を一旦受け入れることです。相手の考えを受け入れることができれば、柔軟な対応ができるようになります。
また、新しい体験や経験を増やすと自分の価値観を変えられるきっかけにもなります。チャレンジしたいことが思いつかない場合は事前にやりたいことを、思いついたタイミングでメモして、時間が空いた時にやってみるのも良いでしょう。
やり方③ 相手の立場になって考えてみる
相手の立場になって考えることも、アンガーマネジメントとして有効です。自分のことを客観視することで、冷静に物事をみることができます。相手を知ろうとする気持ちがあれば、相手の立場に立つことができます。
相手を知るためには、相手から話を直接聞いたり、会話の中で質問を投げかけてみましょう。また事前に相手のことを調べておけば、初対面であっても、相手の立場にたって物事を考えやすくなります。共通の知人などに相手のことを聞いてみることもできます。
やり方④ 考えることをやめる
考えることを辞めることで、怒りを発散させないやり方もあります。
Aのことを考えていて、怒りの感情が湧いてきたのであればAのことを考えるのをやめてみましょう。
考える続けると、また怒りの感情が湧いてきてしまうので、アンガーマネジメントとして考えることを辞めるというのも効果的です。
やり方⑤ 自分でコントロールできることを知る
自分のコントロールできる範囲内でのことに力を注ぐのも、怒りに振り回されないためには効果的なやり方です。大切なのは怒りの原因として、自分でもコントロールできないことをしっかりと把握することです。
自分がコントロールできないことに対しては怒りの感情よりも、諦めの感情を持つ方が効果的です。仕方ないと自分に言い聞かせることで、余分なエネルギーを使うことが減ります。
まとめ
アンガーマネジメントを上手に活用できれば、怒りを自分の良い方向へ持っていくことができます。「怒り」の感情に身を任せすぎると、人間関係でうまくいかなかったり、仕事がうまくいかなかったり、プライベートでも失敗してしまう可能性もあります。
アンガーマネジメントのやり方を覚えておいたり、社内で周知させることを徹底すれば、職場環境がよくなったり、社員のモチベーションが上がったりもします。会社にとっても個人にとってもメリットの大きいアンガーマネジメントをぜひ、有効活用してみてはいかがでしょうか。