皆さんは、『アルペンスキー』をご存知でしょうか?
アルペンスキーは雪山に作られた傾斜のあるコースを滑り降り、タイムを競う競技。日本でも広く親しまれており、競技としてだけではなく、レジャー目的でも楽しまれています。
今回取材をさせていただいた、旅するクリエイターKeiさんは、かつてプロスキーヤーを目指していました。
なぜプロスキーヤーを目指していたのか?
旅人としての道を選んだきっかけは?
そこには、Keiさん自身に対するコンプレックスから抜け出すまでのストーリーや、今のKeiさんを創り出した人生観が詰め込まれていました。
コンプレックスや自分自身との向き合い方に苦しみ、もがいている若者に読んで欲しい記事です。
アジア1位の姉と、僕
ー幼少期からスキーをされていたと思うのですが、始められたきっかけを教えてください。
旅するクリエイターKeiさん:両親がスキーのインストラクターをしていたり、10歳離れた姉がアルペンスキーの元日本代表として名を馳せていたこともあり、スキーは物心がついた頃から身近な存在でした。
子供の頃は、スキーで食べていきたいとまでは考えていませんでしたが、都大会で優勝をしたり世界大会出場を経験する中で「もっと世界で戦ってみたいな」「日本代表を目指したい」と考えていました。
でも将来を具体的に考えるような年齢になっていくにつれ、プロスキーヤーの難しさをひしひしと感じるようになっていったんです。当時日本でスキーで本当に食べている人って2人しか居なくて、そのうちの1人が僕の姉だったんです。
姉の苦労を一番近くで見てきたからこそ、現実を早い段階で見るようになって、大学生の頃にスキーヤーとしての夢を諦めました。
ー気持ちの踏ん切りをつけるにあたって、苦しさはなかったのでしょうか。
旅するクリエイターKeiさん:ありましたね、挫折の連続だったので。
やっぱり世界で活躍する姉の存在は大きかったです。
僕自身も、全国大会で上位に入ったりスポーツ推薦で高校に進学したりと、普通の人だったらむしろ自信がつくような経験値も、アジア1位の姉と比較して差を感じてしまう自分が常に居て。家に帰っても、姉が獲ったたくさんのトロフィーが飾られているし、スキーをしていても話題は姉ばかり。スキーにのめり込もうとすればするほど辛くなる。
簡単な話ですが、コンプレックスにまみれていて、自分軸で判断ができなかったんですよね。そのコンプレックスに打ち勝つことができず、大学生になって「ああ追いつけないな。」と、心が折れてしまったんです。
ー大学でその決断をしてから『旅』へと、新しい道を歩まれたきっかけを教えて下さい。
旅するクリエイターKeiさん:子供の頃に出場したスキーの世界大会で、初めて”世界“を知りました。
人種や文化、考え方などを実際に肌で感じ、世界って自分が思っていたよりもずっとずっと大きいことを知りました。その頃から「海外」というキーワードは、自分の憧れとして潜在的に自分の心にあったんですよね。
でも、良くも悪くもスキーに囚われすぎていた自分にとっては、なかなか踏み出せない新しい道でした。
プロスキーヤーを目指すことに諦めがついた時、くすぶっている自分を変えようと、ある意味何も考えず飛び込んだのが海外だったんです。そして、僕が長年抱えていたコンプレックスを解消したきっかけの1つが、世界一周の旅でした。
ー旅を通してどのような変化があったのでしょうか。
旅するクリエイターKeiさん:簡潔に言うと、スキーをプレーしていた頃には絶対に得られなかった”自信“がつきました。
旅って毎日が選択の連続で、決断の連続なんですよね。当たり前の話ですが、どんな一日を過ごすかも全て自分次第なんです。
旅を通して、英語が通じるようになってきたりだとか、物怖じせずに飛び込んでみてよかったなとか、そういう成功体験だったり未知の体験を通して自信へと変わっていきました。多分、無意識のうちに負の感情として自分にはびこっていたコンプレックスを解消しようと、がむしゃらに動き続けていたんだと思います。
そして、一番の成長は、逃げるように辞めたスキーともう一度向き合えるようになったことです。プレーヤーとしてではないですが、スキーに関わるお仕事もできているし、何より好きでいられています。コンプレックスを感じていた頃の自分の経験は、無駄なことは無かったと言える未来が作れたことがとても嬉しいです。
旅は自分の人生を深める体験記
ーKeiさんが旅をする理由を教えてください。
旅するクリエイターKeiさん:僕は旅をするときにSNSをたくさん更新するんですが、クリエイターとして魅力を届けるための動きをすると同時に、自分を見つめ直す発信を多くしています。
異文化を感じたり、未知の経験をすることが外圧となって自己成長に変わる感覚が楽しくて、自分自身に常に問いかけ続けて自分の人生をアップデートをしていくんです。
それが生きがいに繋がっているんだと思います。
ーRPGゲームのような、ダンジョンをどんどんクリアしていく感覚に近いのでしょうか。
旅するクリエイターKeiさん:そうですね。その表現はぴったりだと思います(笑)
僕は元々、日本は”ホーム” 海外は”アウェイ” という印象を持っていたんですが、旅をするうちにその線引きが自分の中で無くなっていくのを感じて。自分にとって居心地の悪いアウェイな場所でも、数日、数週間滞在するだけでそこが自分のホームになっていく感覚があるんです。
ホームが合体していってどんどん大きくなっていくような、そんなイメージ。
それが自分の中ではレベルアップしたってことなんでしょうね。ゲームで言うと音が鳴るような感覚があって、「よし、次のダンジョンに挑戦しよう」って思うんです。
今までコンプレックスの塊だったからこそ、自分の居場所ってどこだろうって感じていたんですが、海外に行ってようやく考え方も見え方も変わっていきました。
“ホーム”は自分が生まれ育った環境ではなく、自分が創っていくものなんだなと旅を通して実感できました。
これこそが僕にとっての『旅する意味』なのかなと感じています。
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今回は旅するクリエイターKeiさんに、旅人としての人生を歩み始めるまでのお話をお伺いしました。
Keiさんは、自身でもnoteやSNSなどで赤裸々に発信をされていますが、自分の弱みやコンプレックスをさらけ出すことは、とても勇気のいることだと思います。
でも、そのかっこ悪い部分も含めて『自分の人生』です。
かっこ悪い自分と向き合ってみることによって、自分を語る上で必要不可欠な人生のターニングポイントにもなるのではないでしょうか。職業としてだけではなく、Keiさんの生き方や価値観も、誰かの生きるヒントに繋がれば嬉しいです。
後編では、旅するクリエイターKeiさんの職業 旅人としてのキャリアに迫っています!是非こちらの記事もご覧ください!
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- 旅するクリエイターKeiさん
たびするくりえいたー けい|旅人1993年生まれ。神奈川県横浜市出身。中央大学卒業。アルペンスキーを16年間続けた後、大学4年生の時に「世界一周の旅」を経験。旅人としての生き方を切り開き、独自の世界観で「旅」を切り取り発信をするクリエイターとして活躍している。
Youtube:https://www.youtube.com/user/kazukiyo0427
note:https://note.com/createthefuture/