今回は、株式会社ホリプロの社員でありながら、筋金入りの鉄道オタクとして知られテレビやラジオ、鉄道関連イベントに多数ご出演されている南田裕介さんにインタビューさせていただきました。
南田裕介さん自身のキャリアについてや、ホリプロ芸能マネージャーというお仕事について、とても深くお話していただきました。
芸能マネージャーを目指している方やエンタメ業界に興味のある方には、特に読んでいただきたいインタビューとなりました。
大好きな鉄道は仕事にできなかった
ー南田さんは、小学生の頃ってどんな学生だったんですか?
南田裕介さん:小学生の頃は野球をしたり、そろばんに行ったり、魚釣りに行ったり、塾に行ったり…といった、いわゆる典型的な小学生でしたね。
それから小学校高学年になるにつれて興味のあることが魚釣りと野球、鉄道の三つのジャンルに絞られたっていった感じでした。
魚釣りは、父親が私を自然と触れ合わせたかったらしく毎週末朝6時くらいに起きて、近くの川に釣りに行っていました。その川には鯉がいるのですが、30回に1回くらいしか釣れないんです。それ以外は全部鮒(フナ)なんですよ。だから鯉を釣るために何回も川へ行って、でかい鯉を釣ったり、ナマズ釣ったり。そういうのが楽しかったです。
小学校5年生の時にカメラと鉄道模型をちょうど始めたんですけど、そこからどっぷりと鉄道にハマっていきました。
ー出身はどちらですか?
南田裕介さん:奈良県です。小学校6年の夏休みに奈良県の慣れ親しんだエリアから、ほとんど知り合いのいない地域に引っ越しをしました。行きつけの川からも離れ、野球チームにも行けなくなったので、それから興味が鉄道一本に絞られました。
引っ越しをしても転校はせず、電車通学をしていたんですけど、憧れの定期券を持って毎日電車に乗ることが嬉しくて、そこからもう鉄道から抜け出せなくなりました。
ーその時感じた鉄道の魅力ってどんなものでしたか?
南田裕介さん:鉄道が全国につながっているということが1番の魅力でしたね。
電車の車両にも転属とか配属があり、当時国鉄というのは全国ネットだったんです。小学校高学年のときに東北の電車が奈良県に来ることがあって、そういう時に線路って日本全国に繋がってるんだっていうのを感じて、それがすごく魅力的でした。
ーその頃の将来の夢は、鉄道にかかわる仕事だったんですか?
南田裕介さん:その頃の将来の夢はもちろん鉄道の車掌さんになることでしたね。
中学校3年生までそんな想いを持っていました。
鉄道に関して学べる高校は、東京には岩倉高校や昭和鉄道高校があるんですけど、関西にはなかったので、普通科の高校に進みました。
高校入学後は、その先のなりたい職業というのを棚に上げて、当時歴史を学びたかったので、歴史を学ぶための大学に行くことを考えていました。結局、静岡大学に行って歴史を学んでいたんですけど、その先の職業を考えての進学の選択はしなかったですね。
車掌さんの夢をもう一度意識したのは、大学4年生の時でした。就職活動をしていく中で、どんな業界に進みたいかを考えた時に、エンタメ業界か、鉄道業界のどっちかだなと思っていました。
鉄道会社の説明会に行ったんですけど、結局文系の大卒はどの鉄道会社も基本的には総合職採用になってしまって、鉄道会社に就職しても鉄道現場に就けるのは半分未満ということがわかりました。どちらかというと街づくりが主なお仕事で関連会社の管理ができる人材を探してる感じでした。
鉄道会社に就職しても車掌さんにはなれないので、もう一つの夢だったエンターテイメントを職業にして、鉄道に関しては趣味として関われる道を選択せざるを得なかったんです。
一人の人生を預かる仕事
ーホリプロに入られたのは、新卒からですか?
南田裕介さん:1社目からずっとホリプロですね。
今23年目になるんですけど、内定をもらったのはホリプロが最初だったんです。そこでもう就活は終わりにして、(選考の)残っていた会社さんにお詫びの連絡をいれました。
エンタメに行くと決めた当時、ドラマが最盛期だったのでドラマのプロデューサーになりたいと思っていましたし、アイドルタレントも好きだったので一緒に仕事したいなとも思っていました。放送局とか出版社とか色々受けたんですけど、放送局はあいにくどこからも内定がもらえなくて、それ以外のテレビ制作会社を受けた中にホリプロがありました。ホリプロはマネジメント業務も行なっていて、僕にとって理想の会社だったので、内定をいただけて良かったです。
ーその頃は芸能マネージャーになるという選択肢はありましたか?
南田裕介さん:当初は、ドラマのプロデューサーになりたかったんです。ホリプロに就職して、人事に希望を聞かれた時に、僕はドラマ制作の部署に志願したんですけど、いざ4月1日に辞令を受けて見に行ったらプロダクション一部のマネージャーになっていました(笑)。
それからホリプロの芸能マネージャーとしての仕事が始まるんですが、当時の上司は僕がドラマ制作を希望して入ってきていたのを知っているので、「タレントのマネジメントもドラマの制作も同じで両方プロデューサーだからな」って言われたんです。だから、もし番組作りたいんだったらタレントをスターにしてからでも遅くないと言われました。それから結局23年間マネージャー業務を続けています(笑)。
ー芸能マネージャー業務の中で苦労したことはどんなことですか?
南田裕介さん:僕は、オファーや案件を受けるべきか受けないべきかの決断が遅くて、そこで苦しんだ時に、上司にどこまで相談すべきかを考えることが大変でした。
若いうちは上司の人にどこからどこまで判断を任されているのか、どこまでが会社判断なのかがわからなくて苦しみました。色んな人に判断について聞いてしまうと、僕は必要無くなってしまうので、、。
先方のプロデューサーから相談を受けた時に「僕じゃわからないんで、上に相談してもいいですか。」なんていったらもう2度と電話かかってこないじゃないですか。僕一人で判断できないときは、僕が一旦預かって、意見を言えるタイミングがあるなら、「現場的にはこうなんですけど、上司とか会社に聞いてみないとわからないので…」って言って一度持ち帰ることをやってたんですけど、その見極めが大変でした。
僕が判断した方がいいと思ったことが、上司からしたら「なにやってんだ!」ってなることや、小さなことだと思ってたことがルール違反になることが、若いうちはなかなか分からなかったです。
ーそういうのを聞くと、芸能マネージャーという職種に対する意識もすごく変わります。
南田裕介さん:元々僕も芸能マネージャーってスケジュール管理とかをイメージしていたので思っていたのと違いました。スケジュール管理の前にタレントをどうするかっていうプロデュースの部分に重心を持っていかないといけないんです。このタレントをどう売っていきたいかとかそういう気持ちが大事だなと思います。タレントと真剣に向き合って、必要なところに売り込んだり、オファーを頂いてもお断りしなければならなかったり考えないといけないんです。
芸能マネージャーの仕事は、何時に現場入ってメイクをして、司会者に挨拶行ってとか現場を仕切ることだと思っていたんですけど、それ以前に担当しているタレントのプロデュースが一番大事だと思います。
ーホリプロに入社されて23年目ですが、南田さんの今後の目標とかやりたいことってありますか?
南田裕介さん:ホリプロは「文化をプロモートする人間産業」っていうのがテーマなんです。
今の僕の立場で趣味の世界をただ追求しても、仕事に繋がらなければただの公私混同だと思っています。僕は、自分のやりたいことを自分の立場を利用して考えるとアイデアがどんどん湧いてくるんです。だから今後も公私混同のスタイルはずっと続けて良い仕事に繋げていけたらな思っているんですよね。
出世して役職が上がっていって、社長になったとしても自分のやりたいことから湧き出てくるアイデアを生かしてホリプロに結びつけていって「文化を耕していく」ってところを目標にしたいです。
ちょっと偉そうですけど(笑)。どうやったらみんながハッピーになれるかを常に考えたいです。
あとは、企画書を一枚でも多く通すってことかな。うちの会社で恵まれてるのは、ホリプロ内でなんでも企画できるんですよ。
ー企画っていうのはテレビ局とかに提出するものですか?
南田裕介さん:それこそテレビ番組の企画書も作りますし、既存の番組の1コーナーの企画書も作成もできます。あとは、オールマイティにどんなものでも使える企画書もありますし、出版社にはこういう本出しませんか?こういう連載しませんか?っていう企画書も書きますし、とにかく色んな企画書を書きます。
本当はタレントをスカウトする時の企画書も書かないといけないんですけどね(笑)
タレント発掘も大きな仕事で、たくさんの方との出会いがある中でうちと契約に至るまでのプロセスをちゃんと企画書にして説明できるようにしないといけないんです。というのも、スカウトした人がホリプロじゃなくて別の事務所にいくっていうのはすごくショックなので(笑)
ー芸能マネージャーさんのお仕事って幅広いですね。
南田裕介さん:よくイメージをされるスケジュール管理はほんと氷山の一角ですね。
それ以外にも見るものや聞くものの研究が必要なんですよ。実際、番組の研究が仕事につながることもあって、例えばゴールデン帯のバラエティ番組に売り込みに行く時にもその番組を見たことないと売り込みに行けないので、番組を見てどういう人がキャスティングされていて、どういう発言をしたら盛り上がっているのかっていうのをある程度考えて、担当しているタレントがその番組に出て売れるのか、今出てもただ出ておしまいになる可能性があるとかっていうのはある程度計算しなければいけないんです。タレントや番組の研究はすごく大事だと思いますね。
芸能マネージャーというのはマネジメントであり、プロデューサーであり、経理であり、我々の業務はイメージされている以上にやることがたくさんありますね。
shabellは自分の仕事への理解を深めてくれた
ーshabellのサービスについての印象はどう思いましたか?
南田裕介さん:こういうサービスってなかったですよね。
就職の時に先輩の話を聞くような、OB訪問が一番近い例ですよね。僕自身身近に話を聞けるようなコネクションもなかったし、勇気もなかったですけど、shabellを使えばアプリケーション内でそれが手軽にできるわけですもんね。
しかも、もしファンの方とかが来てキャリア相談以外の話になったときにお断りできるように、規約で相談は「キャリア相談のみ」ってなってるんですよね。そういうシステムを作っていただけたのはマネジメント業をする立場からしても素晴らしいなと思います。
ーキャリア相談をすることについてはどう思いますか?
南田裕介さん:今後、少子高齢化で働き手が少なくなっても、芸能マネージャーは代えが効かないと思ってますし、少しでもエンタメで働きたい人たちの背中を後押しできたらなって思います。芸能マネージャーっていいなって感じてもらって、最終的にホリプロに来てくれたら嬉しいです。
ー南田さんは、shabellで実際にキャリア相談されたと思うんですが、相談を受けてみてどうでしたか?
南田裕介さん:shabellの中に色んなヒントがありました。
相談者と話していく中で、芸能マネージャーについてさらに自分の中でも理解が深まっていきました。
あとは、普段関わる人もエンタメ業界の人たちばかりなので、shabellを通してそれ以外の方と直接話して異業種の方から芸能マネージャーや、ホリプロがどう思われているかヒアリングできる機会になると思いました。shabellを通してホリプロの考え方を皆さんに理解していただくことができれば嬉しいです。
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今回は、南田裕介さんにインタビューさせていただきました。
名前は知っているけど、実際にどんな業務をしているのかわからない芸能マネージャーという仕事のお話はとても興味深く、知らない世界のお話を聴いているようであっという間に取材時間が過ぎていきました。
shabellbaseでは今後も多種多様なキャリアを築く方々を紹介しています。
あなたの夢探しやライフプランに役立つヒントを見つけてみてください。
- 南田裕介さん
みなみだ ゆうすけ|ホリプロ芸能マネージャー奈良県奈良市出身、北大和高校卒、静岡大学人文学部卒
株式会社ホリプロにてチーフマネージャーとして活躍中。
その傍ら鉄道ファンタレントとして、鉄道のイベントや番組などにもご出演している。
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