フリーランスで働くのに、何か資格は必要でしょうか?
スキルや実績があれば資格なんて必要はないと考える人もいれば、スキルアップや対外的に実力を証明するために資格取得を目指す人もいると思います。
この記事では、フリーランスが資格を取得することでどのような付加価値が期待できるのか、現在フリーランスとして働いているシャベラーの声を取り上げながら解説するとともに、これから独立してフリーランスとして働こうとする人におすすめしたい資格を職種別に取り上げます。
資格取得も含め、フリーランスとして活躍するために大事なことをこの記事で学んでいきましょう。
フリーランスとして働くなら資格取得は必要?
今回アンケートに協力してくださったシャベラーに「何か資格は持っていますか?」と尋ねたところ、「はい」と「いいえ」はちょうど半々でした。結論からいうと、フリーランスになる上で資格は必要ありません。
ただ、職種によっては資格が有利に働くケースも多々あります。ここでは、職種ごとに資格取得が必要なのか否かについて解説します。
Webエンジニア:コーディング力を証明できれば資格は必ずしも必要ではない
フリーランスのWebエンジニアが仕事を獲得するには、コーディングスキルをはじめとする開発・設計能力が必要です。また、エンジニアは目指す領域によってさまざまな視点があるため、一括りに語るのは難しいといえます。実際に、フリーのエンジニアとして活躍するKさんも「資格がなくても支障なく働けています。今後資格を取得する予定はなく、自主性が大切だと思います」と回答しています。
Webデザイナー:ポートフォリオや営業力、プレゼン力が受注の鍵
企業や店舗のホームページなど、目に見えて成果を出しやすいWebデザインには流行もあり、比較的いつも需要が高い職種といえます。もしプロジェクトに競合があったとしても、ポートフォリオプレゼン力やデザイン力が鍵となるので、資格は必ずしも必要ではありません。フリーデザイナー・ディレクターのIさんも「国家資格は持っているが、役に立ったと感じたことはない」と回答しています。
Webマーケター:必要なのは情報収集能力や解析力、コミュニケーション力
市場調査や商品開発、販売企画から広報までを行い、商品やサービスを消費者に売る仕組み作りをするのがWebマーケター。社内や副業で十分に成果を上げ、その実績や手法を営業して受注します。必要なのは情報収集能力や解析力、コミュニケーション力で、特別な資格は必要ありません。
Webライター:納期や体調などの自己管理ができれば資格は必要なし
Webライターには特別な資格がないと仕事ができないわけではありません。実際にライターとして活躍するIさんも「資格がなくても特に問題なく仕事できていて、今後も取得する予定はありません。」と回答。ライターに必要なのは納期や体調などの自己管理で、クライアントの求める品質の成果を納品できれば特別資格は必要ありません。
【職種共通】フリーランスとして働く時に役立つ資格5つ
フリーランスには必ずしも資格取得が必須ではないと前述しましたが、自分の強みとして何か勉強しておきたいという人向けに、職種にかかわらずフリーランスとして働く上で知っておくと便利な資格を紹介します。会社員とは違い、自分で確定申告をしないといけないということもあり、ビジネス系実務「会計」「法務」「税務」の知識があると何かと安心です。
ビジネス会計検定
会計分野のスキル向上に役立つのが「ビジネス会計検定」です。財務諸表に対しての知識や分析力を身に付け、それをビジネスに活かしていくための検定です。似た資格には簿記がありますが、こちらは財務諸表を作るための資格。ビジネス会計検定は、財務諸表を分析するためのスキルを問う資格なので、フリーランスにおける会計知識に役立ちます。
ビジネス実務法務検定
「ビジネス実務法務検定」は法務部門に限らず、あらゆる職種で必要とされる法律知識が習得できる検定です。フリーランスが企業と仕事をする際、契約書やNDA(秘密保持契約)を締結する場面が多くあるかと思いますが、のちのち問題にならないよう、ポイントを押さえられるのがこの資格のメリットです。
ITパスポート試験
情報セキュリティ、情報モラルといった現代に必要なスキルが身につく「ITパスポート試験」。ITリテラシーはどの職種においても必要不可欠であり、決して他人事ではありません。ITパスポートは、ITにかかわる基本的な知識や情報を学ぶことができます。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
WordやExcelなど、Microsoft Officeのソフトを使いこなせることが証明できる資格です。どの職種においても工程管理や資料作りなどでOffice系のソフトは重宝されます。昨今では当たり前に求められるスキルなので、あらかじめある程度の機能が使いこなせることを提示できると損はありません。
ビジネス実務マナー検定
フリーランスになると、クライアントが一般企業であるケースも一般的です。フリーランスの中には、一度会社員を経て独立した人も、最初からフリーランスとして活動している人もいるかと思いますが、知らないうちに失礼がないように一般企業におけるマナーは一度身に付けておくと良いでしょう。
【フリーランスWebエンジニア】おすすめの資格3つ
まだそれほど実務経験を積んでおらず、どの水準の知識が必要なのかのボーダーラインが知りたいフリーのWebエンジニアのための資格を紹介します。
基本情報技術者試験
駆け出しエンジニアや、資格に挑戦するならまずは取っておこうという登竜門的な資格が「基本情報技術者試験」。IT関連のビジネスにおいて必要な基礎知識や技能が問われる試験で、知名度も高いので持っているとアピールになります。試験は毎年春期と秋期の2回開催されています。
応用情報技術者試験
基本情報技術者試験の上位資格が「応用情報技術者試験」です。これは技術面だけでなく、管理・経営といった知識にまで範囲が広がります。ただし、この試験は難易度が高いことで有名です。相当の準備が必要となるので、勉強するには計画性や目的意識が必要です。
システムアーキテクト試験
「システムアーキテクト試験(SA)」とは、システム開発の上流工程を指導する立場で役立つ国家資格。ニーズに合わせて的確な分析を行い、システム開発のグランドデザインを設計する管理者的視野が身に付きます。実務で経験を積み、上流工程で仕事がしたい人におすすめです。
【フリーランスWebデザイナー】おすすめの資格5つ
Webデザイナーにおいてもエンジニアと同様、基本的になくてはならない資格はありませんが、資格の勉強をすることで目的のスキルに向かって効率的に学習することができます。ここではアピールやボーダーラインとなる関連資格について紹介します。
ウェブデザイン技能検定
「ウェブデザイン技能検定」は厚生労働省が認定する国家検定として実施されており、1〜3級までのランクに分けられています。デザイン、コーディングの知識はもちろん、インターネットの幅広い知識やサイト運用といった汎用的な知識が問われます。特に2〜1級ではそれなりの実務経験が必要。自分の力試しにも最適といえそうです。
Webクリエイター能力認定試験
「Webクリエイター能力認定試験」は、Webサイト作成に必要なコーディングやデザイン能力を問う試験。スタンダードとエキスパートの等級に分けられています。世界的な標準化を図る「W3C」に準拠したスキルが求められるので、今後海外での活躍を視野に入れている人にもおすすめです。
HTML5プロフェッショナル認定資格
HTML5はもちろん、CSS3、JavaScriptといったWebデザイン全般の技術や知識が求められるのが「HTML5プロフェッショナル認定資格」です。等級はレベル2・1とあり、エンジニアレベルのスキルが問われる高度な認定資格となっています。
アドビ認定エキスパート(ACE)
「アドビ認定エキスパート(ACE)」はその名の通り、Adobe製品のスキルや知識を問うエキスパート試験です。HTML、CSS、プログラミングといった知識ではなく、デザインに特化したスキルが測定されます。Adobe製品はデザインの現場で不可欠ともいえ、習熟度によって表現力や創造力、作業の効率性が左右されます。
類似の資格として「Photoshop®クリエイター能力試験」「Illustrator®クリエイター能力認定試験」もあります。
色彩検定
デザインに不可欠な「色」についての専門性を問うのが「色彩検定」です。3~1級・UC級の等級があり、完成品のクリエイティブだけでなくポートフォリオや提案、フレームワークの段階でも幅広く役立てることができます。
【フリーランスWebマーケター】おすすめの資格5つ
Webマーケターで重視されるのは実績や経験なので、ほかの職種と同様、特別な資格は必要ありません。しかし、汎用的な知識の吸収や提案に資格は役立ちます。ここではおすすめの資格を紹介します。
マーケティング・ビジネス実務検定
「マーケティング・ビジネス実務検定」は、Webや特定の業界だけにとどまらず、マーケティングの幅広い知識を学びたいという人におすすめです。C〜Aの等級があり、A級に合格すると「IMASSA認定マーケティング実務士」を名乗ることができます。
IMA(Internet Marketing Analyst)検定
即戦力を身に付けたい人におすすめなのが、「IMA検定」。オンラインマーケティングのトレンドが学べ、サイト分析や運用、集客施策の立案などの専門知識を学ぶことができます。試験と講座がいずれもオンラインで完結するのが一般的となっています。
Web検定
「Web検定」は、Webに関わる全ての人を対象とした検定です。基本的なWebのリテラシーについて学ぶので、フリーランスとして働く上での土台となります。フリーランスはクライアントやほかのデザイナー、ディレクターなど多種多様な人と連携して仕事を進めます。そういったコミュニケーション面でもWebリテラシーは必要になります。
ネットマーケティング検定
インターネット上のブランディングやSEO対策、市場リサーチなどのスキルと知識を身に付けるための検定が「ネットマーケティング検定」で、駆け出しのマーケターにもおすすめの基礎的な内容です。効果的なWebマーケティングの体系的な知識が学べ、これから独立しようとしている人も学んでおいて損はない試験といえます。
Webアナリスト検定
マーケターに必要な分析力、特にWebにおけるアナリティクスのスキルを身に付けるための検定として「Webアナリスト検定」があります。こちらの駆け出しのマーケターにおすすめで、またある程度実務をこなした人が振り返りで受けるのにも向いています。
【フリーランスWebライター】おすすめの資格5つ
Webライターにも特別な資格は必要ありませんが、日常的に使っている日本語をどう効果的に使うのかを学ぶのに検定や資格に挑戦するのはスキルアップに有効です。また、案件によっては専門知識が必要だったり、資格保有・記名記事で募集がかかる記事もあるので、ファイナンシャルプランナーや宅建といた専門資格が有効な場合も。代表的な資格について解説します。
WEBライティング技能検定
日本クラウドソーシング検定協会が運営する「WEBライティング技能検定」では、クラウドソーシング上で仕事を受注したいライターにおすすめの資格です。検定に合格することで案件へ優先的に紹介してもらえたり、記事報酬のアップが狙えます。
Webライティング能力検定
日本WEBライティング協会が運営する「Webライティング能力検定」では、「ウェブライティング」「コピーライティング、メールライティング」「論理・法律、炎上対策」「SEO」「Webライティングに関するミニ論文」などの6科目が受験科目となっていて、Webライターとして活動するためのリテラシーをはじめとする基本的な知識、専門知識が汎用的に身に付きます。
ビジネス著作権検定
Webライターには著作権の意識やリテラシーも非常に重要です。「ビジネス著作権検定」ではそれらの基礎知識が学べるだけでなく、著作権に特化した民間資格では国内唯一。著作権の意識が低いメディアが社会問題にも取り沙汰される中、改めて知識を振り返りたいという人にもおすすめです。
ファイナンシャルプランナー
Webライター誰もに必要な知識ではありませんが、「ファイナンシャルプランナー(FP)」の資格を持っておくと関われるメディアの幅が広がり、一般的に専門性の高い記事は記事単価も高めであることが多いので、ステップアップしたい人におすすめです。また生活に寄り添ったお金に関する内容は読者の需要も高いため、より専門性を高めれば記事の検索上位も狙えます。
宅地建物取引士
上記のFPと同様、専門的な記事を執筆するときに「宅地建物取引士」も需要の高い資格です。不動産や賃貸に関わる記事はよく読まれやすく、また記名記事であれば肩書として資格を記載できることも。よりステップアップしたいライターにおすすめです。
フリーランスは実力が最も重視される働き方!
フリーランスで活躍するのに資格は必要か、またあったら役立つ資格について解説してきました。結論、フリーランスに実力がモノをいう働き方。資格は必ずしも必要ではありません。そして資格があれば必ず仕事が受注できるというわけでもありません。
しかし、知識や実力を証明できる、効率的・体系的に専門知識を学ぶことができるなどメリットも多く、目的意識をもって活用するのはおすすめです。